燃料電池で液体有機水素キャリアを直接利用、シェフラーなどが共同開発へ:燃料電池車
シェフラーは2022年1月28日(現地時間)、ハイドロジーニアス LOHC テクノロジーズやヘルムホルツ研究所と協力に合意し、液体有機水素キャリア(LOHC)を使用した燃料電池を開発すると発表した。
シェフラーは2022年1月28日(現地時間)、ハイドロジーニアス LOHC テクノロジーズ(以下、ハイドロジーニアス)やヘルムホルツ研究所との協力に合意し、液体有機水素キャリア(LOHC)を使用した燃料電池を開発すると発表した。水素は通常、高圧ガスや低温の液体の状態で貯蔵、輸送されるが、液体有機水素キャリアは通常の環境条件で扱えるのが利点となる。燃料電池の安全性向上や水素インフラのコスト低減に貢献するとしている。
ハイドロジーニアスが開発した液体有機水素キャリアはベンジルトルエンを使用しており、共同開発する燃料電池では、液体有機水素キャリアに結合した水素を直接利用できるようにするという。液体有機水素キャリアは繰り返し長期間使用することが可能だ。
シェフラーは燃料電池用のバイポーラプレートを製造しており、従来の燃料電池技術との相乗効果や専門知識の提供を目指す。ヘルムホルツ研究所では、今回の目的に合わせて触媒コンバーターとメンブレンを開発した。
シェフラー CTOのウーヴェ・ヴァーグナー氏は「水素はカーボンニュートラルで持続可能なモビリティにおいて決定的な役割を果たす。われわれの戦略としても重要だ」とコメントした。ハイドロジーニアスの創設者でCEOのダニエル・タイヒマン氏は「燃料電池で液体有機水素キャリアを直接使用することで水素ガスの取り扱いが不要になり、安全かつ便利にモビリティや定置型エネルギーのユーザーに水素を供給できるようになる」と述べた。
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