クリーンルーム作業のデータ信頼性確保へ、指紋と心電図を使う生体認証ツール:スマート工場EXPO2022
興和は、「第6回スマート工場EXPO」(2022年1月19〜21日、東京ビッグサイト)において、クリーンルーム内での作業を容易にする生体認証ツール「Nymi Band」を出展。製薬工場などで採用されるデータインテグリティに対応し、クリーンルームなどでの作業のトレーサビリティー確保を支援する。
興和は、「第6回スマート工場EXPO」(2022年1月19〜21日、東京ビッグサイト)において、クリーンルーム内での作業を容易にする生体認証ツール「Nymi Band」を出展。製薬工場などで採用されるデータインテグリティに対応し、クリーンルームなどでの作業のトレーサビリティー確保を支援する。
クリーンルームや製薬工場の人作業のトレーサビリティーに
「Nymi Band」は、データの信頼性がより強く問われる工場などの環境においての使用を想定して開発された生体認証ツールである。カナダのトロント大学発ベンチャー企業であるNymiが開発し、日本では興和が2021年12月から展開を開始した。
特徴は心電図(ECG)による心拍確認と指紋認証の2つの機能を搭載していることで、指紋認証による個人認証を1度行えば、着用中(心拍を認識できている間)は常時認証状態となり、再認証を行う必要がなくなる。ECGと指紋の2つの要素で認証を行うことにより、なりすましの防止が行える他、ログインまでの時間が装着して指紋を認証するだけなので2秒程度で可能となる。また、防護服などを着用した状態での認証も可能としており、工場内やクリーンルーム内での作業でも作業者が認証を容易に行うことができるという利点がある。
工場内では作業者が個人の識別によって機械や設備での作業を行うケースがあるが、その都度パスワード入力を行うなどの負荷が生まれていた。Nymi Bandを用いれば機械にBlootoothなどを使った読み取りツールを用意するだけで簡単に認証が可能となる。また個人の作業法なども自動で記録できるため、作業トレーサビリティーの確保が容易になる。
価格は買い取りの場合は1本10万円、サブスクリプション型の場合は1本当たり年間5万円としている。1ユーザー1バンドによる認証情報の割り振りとなるため使用人数分の本数が必要となる。「個人認証とともに現場に負荷を与えない容易さが特徴だ。先行した海外を含め、データインテグリティが要求される製薬工場などでは既に導入への動きは出ている。ミニマムで50本程度で導入されるケースが多いが、大規模になると800本を同時に使うケースなどもある」(興和 産業関連事業部 機械部 担当者)。
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