「情報は上司のものではなく、会社のもの」
私が新卒で就職したのは、こぢんまりとした会社でした(アイティメディアには中途採用で入社しました)。全国に支社があるけれども、お互いに誰がどんなことをしているのか、大体把握しているような会社です。長年その会社に勤めている人も多くて、付き合いが長いからこその一体感もあったかもしれません。いつ何時も仲良しこよしというわけではなく、さまざまなしがらみや対立もあったのでしょうけれども、今振り返ればほどよくまとまった会社でした。
企業規模が大きくなればなるほど、社内について知らないことが増えます。それは「把握しきれない規模である」という意味もありますし、知らなくても業務上は特に困らないからかもしれません。社内のことは報道で先に知ることも多い、と話す人もいました。
人によっては、他の部署についてそれほど興味がないという気持ちもありそうですね。私は会社がフリーアドレス制になってから、会社への帰属意識がなくなってしまいました(その前から愛社精神は特にありませんでしたが)。会社の一員であるという意識が薄れると、身の回りのこと以外への関心も弱くなりますね。
一兵卒ならまだしも、管理職になれば知らないでは済まされないことも多いのだろうと想像しています。部署間の調整はもちろん、他の部署にしてもらわなければならないことも増えます。その部署から理解と協力を得るための地道な働きかけも求められるでしょう。そのためには、自分の部署が社内でどのような立場にあり、何が期待されているのかを客観的に把握することも不可欠です。
情報戦という言葉が思い浮かびます。別にだまし合い化かし合いというわけではなく、より多く深く知っている方が優位であるというイメージです。トヨタ自動車が社長の豊田章男氏の年頭あいさつについて公開していますが、その中に「これまでのトヨタには、『知っている人が偉い』という風潮があったと思います」という一節があります。
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