本田技術研究所の新拠点、目指すのは創業時のような「柔軟で機敏な組織」:自動運転技術(1/2 ページ)
本田技術研究所はロボティクス分野を担当する研究開発組織として「R&DセンターX」を新設した。赤坂に設けた新拠点「HondaイノベーションラボTokyo」を活動の場とし、社外と連携しながら人工知能技術を始めとする研究開発に取り組む。
スピード感のある小さな組織に、創業期に匹敵する熱量を――。本田技術研究所は、自律的に動くモビリティやロボットを指す「ロボティクス」、それらを動かすシステムのエネルギーマネジメントを「新価値領域」と位置付け、新拠点「HondaイノベーションラボTokyo」で人工知能(AI)技術を中心に研究開発に取り組む。自動運転やコネクテッド化も対象とする。
新拠点はオープンイノベーションのための窓口も兼ね、ベンチャー企業や大学、研究機関だけでなく個人も含め、広く門戸を開放する。本田技術研究所の各拠点が新価値領域で社外と戦略的に連携できるようにし、変化の速いデジタル技術に迅速に対応していくことを目指す。
シリコンバレーではなく日本で
HondaイノベーションラボTokyoは、東京メトロ赤坂駅直結の赤坂Bizタワー27階の一画にある。2017年2月28日に記者向けに公開した。人員規模や今後の投資額は非公表。現状では、四輪R&Dセンターの正社員が大半を占めているという。
本田技術研究所は同日付で、ロボティクス分野を担当する研究開発組織として「R&DセンターX」を新設した。HondaイノベーションラボTokyoとR&DセンターXは別物。R&DセンターXの人員は「本田技術研究所のどこの拠点にもいる。どこかの建物1カ所に集まる形でない方が良いと判断した」(本田技術研究所 執行役員でR&DセンターXセンター長の脇谷勉氏)。HondaイノベーションラボTokyoは「R&DセンターXのイノベーションの現場」(脇谷氏)となる。
脇屋氏は「いままでオープンイノベーションをやっていなかったとは言わないが、自動車メーカーとサプライヤのピラミッドのままだった。HondaイノベーションラボTokyoで生まれたイノベーションは、ホンダでの製品化にこだわらず、最適なやり方でフラットに進めたいと考えている」という。
R&DセンターXのアドバイザーには、本田技術研究所が米国に進出した当初からゆかりのあるスタンフォード大学 名誉教授のエドワード・ファイゲンバウム氏と、経営共創基盤 代表取締役CEOの冨山和彦氏が就いた。
ファイゲンバウム氏はAI技術の第一人者で、日本でAI研究を行う意義について「今、(AIなどで技術開発が活発な)シリコンバレーにはたくさんの企業があり、後発で技術者を雇うのはとても苦労するだろう。日本は、まだ開拓されていない人材が得られる。日本の若い人材のクリエイビリティについても期待できると考えている」と述べた。単純にシリコンバレーの人間を雇おうとする考え方では、技術が企業のものとして根付かないことも強調した。
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