1台で金属部品の不良を高速、高精度に検査可能な外観検査機:FAニュース
JUKIは、傷や汚れ、変形などの製品不良を検出し、金属部品の寸法や面積、角度、形状を計測する外観検査機「SE1000」を発売した。1200万画素ハイフレームレートCMOSカメラや高速演算回路により、高速で高精度な外観検査に対応する。
JUKIは2021年12月27日、傷や汚れ、変形などの製品不良を検出し、金属部品の寸法や面積、角度、形状を計測する外観検査機「SE1000」を発売した。国内での希望小売価格は1780万円(税別)となる。
SE1000は、自動車などの金属部品の不良を高速、高精度で検査可能な外観検査機。三次元測定機などでの抜き取り検査の前に全数検査をする、中間検査機としても活用できる。
1200万画素ハイフレームレートCMOSカメラを搭載し、同軸照明に加えて高輝度白色三段LED照明を用いて鮮明な画像を撮像できる。1台で最大600×590×300mmまでの金属部品を検査可能で、検査精度は12μmと高精度だ。
鋳物製のフレームは、CAE、モーダル解析、サーボ特性解析などのフレーム設計技術により剛性を高めており、光学ヘッドユニットの高速稼働に対応する。また、装置間のXY軸位置、照明輝度、ホワイトバランス、分解能などの補正技術により、高い繰り返し精度を維持して、機器の個体差をなくしている。拠点や装置台数が複数の場合も、同一検査プログラムで一元管理できる。
オプションとして、上下可変ヘッドユニットとレーザー計測を用意。上下可変ヘッドユニットは検査対象物の高さに合わせてカメラの高さが自動で変わり、最適なフォーカスで撮像するため、より高精度な外観検査に対応する。レーザー計測は、傷の深さなどを詳細に検査できる。
また、2D検査と3D検査を用途に応じて選択できる。1200万画素ハイフレームレートCMOSカメラや高速演算回路により、2D検査で0.25秒/FOV、3D検査で0.7秒/FOVの高速検査が可能だ。
プログラムの作成は、初心者でも簡単にプログラムを作成できるテンプレートモードと、より詳細な検査プログラムを作成できるプロセスモードの2種類を用意した。
搬送システムや治具をカスタマイズすれば、インラインでの検査や一方向カメラでは検知できなかった微細な傷の検査が可能になる。これまで自動化が難しかったエンジンブロックやサイドミラーなど、高さのある部品や重要加工部品の検査にも対応できる。
JUKIはSE1000の発売により、外観検査事業に本格参入する。国内外の拠点でメンテナンスなどをサポートするほか、照明、カメラ、演算ソフトなどの開発を含めて、サプライチェーンの全てを同社グループが一貫体制で運用する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 第4次産業革命で変わる検査と品質向上の取り組み
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説していきます。第21回となる今回は、IoTやAIを活用することで品質向上への取り組みがどのように変化するのかという点を紹介します。 - 品質不正問題にどう立ち向かうのか、抜本的解決のカギはIoTと検査自動化
2017年の製造業を取り巻く動きの中で、最もネガティブな影響を与えたのが「品質不正」の問題だろう。「日本のモノづくり」のブランド力を著しく傷つけたとされるが、2018年はこの問題にどう対応するのかという点は、全ての製造業の命題である。人手不足が加速する中、解決につながる「仕組み」や「ツール」に注目が集まる1年となる。 - IoT時代にどう立ち向かうか、自動検査の位置付けを変えたマインドセット
「検査装置は不具合を見つける装置ではなく、不具合を出さないためのものだ」――。基板実装ラインなどで使われる外観検査装置で好調を続けるサキコーポーレーションだが、成功の土台には「マインドセット」の取り方にあったという。サキコーポレーション社長の秋山咲恵氏の講演の内容をお届けする。 - カメラによるインライン検査やIoT活用、デジタル技術による「品質向上」最新事情
MONOistは2021年6月3〜4日、オンラインで「品質」をテーマとしたセミナー「製造業×品質、革新するモノづくりの在り方」を開催した。同セミナーでは検査不正や品質問題に立ち向かうべく、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)といった新たな技術を「品質改善」にどのように組み込むべきかを紹介した。本稿では「3D DATAを活用した設計品質向上とIT活用インライン検査」をテーマとした、ロジ 代表 小田淳氏の基調講演を含む「Day1」の様子をダイジェストで紹介する。 - 品質検査を自動化して全数検査に、ベンチャーの「光コム技術」が量産、普及へ
自動化された全数検査の“普及”へ――。ハードウェアベンチャーのXTIA(クティア、旧社名:光コム)は、ニコンやJUKI、双日、INCJから総額17億円を調達し、「光コム技術」の事業拡大に乗り出す。出資の内訳は、ニコンが8億円、INCJが6億円、JUKIが2億円、双日が1億円となる。 - 建設現場にリコーの全天球型カメラ「THETA」導入、死角のない遠隔監視実現に
リコーは2021年12月20日、鹿島建設と共同で、VR空間共有ソリューション「リコーバーチャルワークプレイス」を導入している新潟県長岡市の大河津分水路新第二床固改築期工事において、360度カメラ「RICOH THETA」とライブストリーミングサービス「RICOH Live Streaming API」を新たに適用したと発表した。