新型コロナ感染リスクを判断、評価する多領域横断型の研究ラボを設立:医療技術ニュース
産業技術総合研究所は、新型コロナウイルス感染リスクを総合的に判断、評価する「新型コロナウイルス感染リスク計測評価研究ラボ(Research Laboratory for COVID-19 Infection Risk Assessment)」を設立した。
産業技術総合研究所(産総研)は2021年12月20日、新型コロナウイルス感染リスクを総合的に判断、評価する「新型コロナウイルス感染リスク計測評価研究ラボ(Research Laboratory for COVID-19 Infection Risk Assessment)」を設立した。産総研の地質調査総合センター、情報・人間工学領域、エネルギー・環境領域、材料・化学領域、エレクトロニクス・製造領域の5領域を横断的に融合した研究ラボとなる。
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産総研はこれまでに、政府、Jリーグ、JFA、NPB、Bリーグ、球団、クラブなどと連携して、スタジアム内での感染リスク評価に関する研究を進めてきた。今回設立した研究ラボは、5領域で蓄積してきた各種技術を基に、これまでの研究を深化させ、人が集まる状況下での感染防止対策の効果や人々の行動変容をAI(人工知能)などを用いて計測し、リスクを科学的に評価する。
具体的な研究テーマとして、「スタジアムの観戦行動評価のリアルタイム化と深化」「飛沫・飛沫核等の拡散挙動評価の高度化」「検査技術・戦略の高度化」「実フィールドにおける調査・評価」「環境曝露モデルに基づく新型コロナ感染リスクの評価モデルの開発と公開」「情報発信・ガイダンス公開」の6つに取り組む。
スタジアムの観戦行動評価では、マスクの着用率や音声解析に関するリアルタイム処理のほか、応援スタイルや観戦行動に関するAI認識について研究する。
飛沫・飛沫核などの拡散挙動評価の実験では、最先端のPIV(Particle Image Velocimetry、粒子画像流速計)や粒径分布計測器を活用。さまざまなシナリオでの拡散挙動や、感染対策効果の定量化と可視化に関する研究に取り組む。
また、呼気から感染状況をスクリーニングするシステムを実用化するなど、検査技術の高度化を進める。イベントなどの実フィールドでは、主催者や施設管理者などと連携し、感染予防のための調査を実施する。これまで開発してきた、感染者や環境から人への新型コロナウイルスの曝露を評価するモデルを拡張し、日常生活などでの感染リスク評価モデルを構築する。
これら5つに関する科学的知見の情報発信や調査などのガイダンスを公開するほか、施設の管理者、イベント主催者に対してアドバイスを実施する。
産総研では、大規模イベントから日常生活まで、コロナウイルス感染リスクに関する科学的知見を蓄積、公開することで、ウィズコロナ時代の社会に貢献していくとしている。
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