工場など実環境システムのデジタルツインを短期間で構築する新サービス:メカ設計ニュース
Amazon Web Services(AWS)は、実環境システムのデジタルツインを短期間で構築できる新サービス「AWS IoT TwinMaker」を発表した。機器のセンサーやビデオカメラなどのソースに接続することで、デジタルツインの構築をすぐに開始できる。
Amazon Web Services(AWS)は2021年11月30日(現地時間)、ビル、工場、産業設備、製造ラインなど、実環境システムのデジタルツインを短期間で構築できる新サービス「AWS IoT TwinMaker」を発表した。既に、Carrier、シーメンス、Accentureなどの企業やパートナー各社が活用を開始している。
AWS IoT TwinMakerは、機器のセンサーやビデオカメラ、業務アプリケーションなどのソースに接続することで、デジタルツインの構築をすぐに開始できる。「AWS IoT SiteWise」「Amazon Kinesis Video Streams」「Amazon S3」用のコネクターが組み込まれており、幅広いソースから容易にデータを収集できる。
連携したデータソース間の関係を組み合わせて理解するナレッジグラフが自動で作成されるため、デジタルツインはモデル化済みのシステムから取得したリアルタイムの情報で常に最新の状態にアップデートされる。
CADやBIMファイル、点群データなど既存の3Dモデルをインポートすれば、製造ラインなどの物理システムの3Dビジュアルオブジェクトを作成できる。このオブジェクトに、ナレッジグラフのデータを重ね合わせたデジタルツインの構築も可能だ。
デジタルツインは、実社会の物理的なシステムを仮想空間に再現する技術で、その構築と管理は容易ではなかった。AWS IoT TwinMakerは、タイプの異なるソースデータへの接続、物理環境のモデル化、空間的な背景を持つデータの可視化など、デジタルツインに求める機能が組み込まれており、運用効率の向上とダウンタイム削減を図ることができる。
なお、先行投資や手数料は不要。利用するAWSサービスの費用のみで導入できる。
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