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“船長の技”のクラウド共有で、海のデジタルトランスフォーメーションを実現する船も「CASE」(3/3 ページ)

日本気象協会とアイディアが2021年9月27日、「海事デジタルトランスフォーメーション」を推進するパートナーとして協業することを発表した。

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クラウドで安全な自律運航の“操船能力”を実現する

 Aiseaの高い汎用性を生かした導入事例といえるのが、東京計器との連携だ。法人向けのAisea PROの航行支援機能として、東京計器が開発した避航支援技術「DAC」(Dangerous Area of Collision:衝突危険範囲を表示する技術)の最新バージョンを提供している。この連携では、DACをAisea PROで使えるようにしたことで、分かりやすいタッチ操作でDACによる衝突危険範囲を危険度ごとに赤、黄、青と色分けした領域としてリアルタイムで分かりやすく表示することが可能になった。

 この機能は、現在の法制ではAISの搭載義務のない(※)小型船舶に対してもAisea、もしくは、Aisea PROユーザーの船舶ならば適用可能だ。

(※)2021年11月時点で・国際航海に従事する300総トン以上の全ての船舶、・国際航海に従事する全ての旅客船、・国際航海に従事しない500総トン以上の全ての船舶にAISの搭載義務がある


DACで検出した衝突危険範囲をAiseaおよびAisea PROで表示できるようになった[クリックで拡大]

 将来的には、Aisea PROの利用を通してクラウドに蓄積した小型船舶の動静データを蓄積し、小型船と大型船の衝突事故防止に有益なアルゴリズムに応用することで、海難事故で近年増えている小型船舶が絡む衝突事故の防止を可能にするだけでなく、自律運航船の実現に向けた取り組みとしても活用できるとしている。

無人運航に向けて、セキュリティ対策にも取り組む

 アイディアは、日本財団が進めている「無人運航船の実証実験にかかる技術開発共同プログラム『MEGURI2040』」に三菱造船とともに参加し、無人運航船の実証実験に携わっている。この実証実験では三菱造船が新日本海フェリー向けに新造した総トン数1万5515トンのカーフェリー「それいゆ」(運航は東京九州フェリーで横須賀と新門司を結ぶ航路に就航)で、無人運航を可能とする要素技術とシステムを開発し、国内航路で無人運転の実証実験を実施する予定だ。

 このプロジェクトにおいて、アイディアは陸上監視システムを担当しており、自社開発のデータ処理ユニット「Agent Unit」を導入する。「Agent Unit」は船舶が航行中に取得するAIS、機関などのデータを集約し、データ通信に最適化した上でAiseaのクラウドサーバにアップロードするハードウェアだ。Agent Unitは既に出荷している製品だが、今回の実証実験では自律航行で致命的なデータの改ざんや破壊、なりすましを防ぐために高度なセキュリティ機能を追加で実装するという。加えて、機器のトラブルなどが発生した場合に、アラート情報を陸上に即座に伝える管理者向けの機能も併せて開発する予定だ。

 アイディアでは、このような技術の蓄積を生かして自律運航システムの開発にも取り組んでいる。将来的にはAiseaならびにAisea PROのクラウドで共有する膨大な航海データの蓄積を活用することで船長の判断力を自律運航システムに反映することを目指すとしている。

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