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大気圏再突入カプセルの技術を魔法瓶へ、JAXA発ベンチャーとタイガー魔法瓶が提携:宇宙開発
ツインカプセラとタイガー魔法瓶は、断熱保冷容器事業で業務提携する。主に技術面において協力し、小型化と保冷性能の両立や無電源での長期間保冷が可能な断熱保冷容器を開発する。
ツインカプセラとタイガー魔法瓶は2021年10月12日、断熱保冷容器事業で業務提携すると発表した。
ツインカプセラは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)発のベンチャーで、大気圏再突入カプセルの断熱保冷容器開発で得た成果の社会実装に向けた取り組みを進めている。タイガー魔法瓶とは、企業発足前にJAXAの開発チームとして再突入カプセルプロジェクトで連携していた。
両社は今回、主に技術面において提携する。ツインカプセラは、製品開発段階において事業全体のとりまとめや製品企画、製品全体の設計と解析、関連機器などの設計、製造、検証試験などを担う。タイガー魔法瓶は、事業開発への協力、真空断熱容器(魔法瓶)に関する技術支援や性能向上策の実施、真空断熱容器の供給などを行う。
開発する断熱保冷容器の用途としては、主にバイオメディカル系の分野を想定している。小型化と保冷性能を両立できること、電源なしに長期間保冷できることなどを特徴とする。
なお、ツインカプセラは、断熱保冷容器の試作品を用いた実証実験に協力可能な事業者を募集しており、同社のWebサイトにて申し込みを受け付けている。
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