日野ダカールラリー参戦車両がHEV化、ジェイテクトのリチウムイオンキャパシター採用:電動システム
ジェイテクトは2021年10月27日、日野自動車が「日野チームスガワラ」として参戦するダカール・ラリー2022(2022年1月2〜14日、サウジアラビア)の参戦車両に、高耐熱リチウムイオンキャパシターが採用されたと発表した。
ジェイテクトは2021年10月27日、日野自動車が「日野チームスガワラ」として参戦するダカール・ラリー2022(2022年1月2〜14日、サウジアラビア)の参戦車両に、高耐熱リチウムイオンキャパシターが採用されたと発表した。
2022年の車両は、2020年参戦のボンネット車をベースに初めてレース用ハイブリッドシステムを搭載した。エンジンを新開発の高効率ターボで588kW(800馬力)に高出力化するとともに、モーターや瞬発的な出力をまかなうキャパシターと組み合わせてエンジンとハイブリッドシステムの合計で794kW(1080馬力)を達成する。レース用AT、高強度アルミとGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)による超軽量リヤボディーなど、新技術を多用した。
ジェイテクトのリチウムイオンキャパシターは、リチウムイオン電池よりも急速な充放電が可能で出力密度の高さを強みとする。従来のリチウムイオンキャパシターは動作温度範囲が狭かったが、材料の配合の工夫などによって−40〜+85℃での動作に対応した。電圧の制限によっては100℃でも使用可能だという。耐熱性が向上したことにより、高負荷で連続使用した際の自己発熱に伴う劣化を大幅に抑制できる。また、正極に活性炭を用いることにより、発火しにくくした。
ダカール・ラリー参戦車両でリチウムイオンキャパシターは、同体格のリチウムイオン電池では困難な高出力によってエンジンをアシストする。ラリーの全工程を走りきる性能安定性や、ドライバーの要求にリアルタイムに応答する制御性も実現する。さらに、悪路での振動や衝撃に対応したモジュール構造を協豊製作所と開発した。
ジェイテクトは2017年に高耐熱リチウムイオンキャパシターを発表。SUVやピックアップトラックなど大型の乗用車で電動パワーステアリングの出力低下を補う電源をターゲットに開発を進めてきた。動作温度範囲の広さや出力密度の高さを生かし、自動運転車のフェイルセーフ用のバックアップ電源や、大出力のモーターが求められる建設機械や農業機械の電動化、航空宇宙など低温環境での動作が求められる分野に向けても提案を進めている。
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