検索
特集

ゴルフクラブに革新をもたらす3Dプリント技術採用パター、Cobra Golfが製品化HP Digital manufacturing summit 2021(1/2 ページ)

日本HP主催「HP Digital manufacturing summit 2021」の基調講演に、プーマジャパン コブラプーマゴルフ事業部 シニアマネージャーの西川伸一郎氏が登壇し、「ゴルフクラブの未来を切り開く3Dプリントテクノロジー」をテーマに、コブラブランドのゴルフクラブ「KINGパターシリーズ」の開発に3Dプリント技術がどのように生かされているのか紹介した。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 日本HP主催のオンラインイベント「HP Digital manufacturing summit 2021 −3Dソリューションのエコシステムで広がるDigital Manufacturingの可能性−」(会期:2021年10月25〜29日)の基調講演に、プーマジャパン コブラプーマゴルフ事業部 シニアマネージャーの西川伸一郎氏が登壇し、「ゴルフクラブの未来を切り開く3Dプリントテクノロジー」をテーマに、同社のゴルフクラブ「KINGパターシリーズ」の開発に3Dプリント技術がどのように生かされているのかについて詳しく紹介した。

3Dプリント技術を採用した「KING 3D Printed Putterシリーズ」
3Dプリント技術を採用した「KING 3D Printed Putterシリーズ」[クリックで拡大] 出所:プーマジャパン

Cobraブランドを展開するゴルフクラブメーカーCobra Golf

 世界的スポーツブランドであるPuma(プーマ)の子会社であるCobra Golf(コブラゴルフ)は、現在「Cobra(コブラ)」ブランドでゴルフクラブなどを展開している。

Cobra Golfはプーマグループの一員として「Cobra」ブランドを展開している
Cobra Golfはプーマグループの一員として「Cobra」ブランドを展開している[クリックで拡大] 出所:プーマジャパン

 コブラゴルフは、1973年にオーストラリアのゴルフクラブデザイナーで、当時アマチュアチャンピオンであったTom Crow(トム・クロー)氏が設立したゴルフクラブメーカー。1975年に当時革新的だったソールにレール状の突起を付けたゴルフクラブ「Baffler(バフラー)」が大ヒットし、1990年代には当時世界ナンバーワンプレイヤーであったGreg Norman(グレッグ・ノーマン)氏と契約、1994年に発売した「King Cobra(キングコブラ)」も同社の代名詞となる世界的ヒット商品となり、急成長を遂げたことでも知られている。

 プーマに買収されたのは2010年のことで、コブラゴルフはプーマグループの一員となり、プーマ/コブラの両ブランド(コブラプーマゴルフ)で、ゴルフボールを除くゴルフ向け用品からアパレルまで、全てのスキルのゴルファーが楽しめる革新的で魅力ある商品を幅広く展開。現在、ブランドアンバサダーとして、米国で人気のあるRickie Fowler(リッキー・ファウラー)選手やLexi Thompson(レクシー・トンプソン)選手、全米オープン王者のBryson DeChambeau(ブライソン・デシャンボー)選手などを起用している。

革新的なパターの製品化を支援するHPの3Dプリント技術

 コブラブランドを展開するコブラゴルフは、これまで主にメタルとアイアンで成長を遂げてきたが、その一方で、プーマグループの一員になって以降、パターに関しては新たな製品を発売してこなかった。

 その経緯について、西川氏は「ゴルフクラブメーカーとして、パターを含めた14本全てのゴルフクラブを提供できることが理想であるため、コブラゴルフも約7年前からパターの開発に着手していたが、“イノベーティブなもの”が出来上がるまではパターに参入しない(製品を出さない)という姿勢を貫き続けてきた」という。

 イノベーティブなパターをどのように実現すべきか。そこで、コブラゴルフが注目したのが3Dプリント技術だ。HPとの取り組みは2019年からスタートしており、HPの金属3Dプリンティング技術「HP Metal Jet」から始まり、現在マルチジェットフュージョン(MJF)方式3Dプリンタ「HP Jet Fusion」へと移行し、ナイロン素材の特性を生かした3Dプリント技術による革新的なパター開発を推進してきた。

 そして、2021年。その準備がようやく整い、コブラブランドから3Dプリント技術を活用した革新的なパターの新製品「KING 3D Printed Putterシリーズ」が発売された。講演では、ゴルフクラブへの3Dプリント技術の適用にフォーカスし、同シリーズの特徴などを詳しく説明した。

3Dプリント技術を活用した革新的なゴルフクラブ開発に向けてHPとの取り組みを2019年からスタート
3Dプリント技術を活用した革新的なゴルフクラブ開発に向けてHPとの取り組みを2019年からスタート[クリックで拡大] 出所:プーマジャパン

 西川氏は「ゴルフクラブは従来、鍛造や鋳造といった製法で作られてきたが、3Dプリント技術を導入することで、これまで常識とされてきたゴルフクラブの作り方を大きく変革することができた」と述べ、ゴルフクラブの開発に3Dプリント技術を活用するメリットとして、「積層構造」がもたらす可能性と、従来製法では難しい「複雑な形状」を実現できる点を挙げる。

積層構造複雑な形状 ゴルフクラブの開発に3Dプリント技術を活用するメリット[クリックで拡大] 出所:プーマジャパン

 さらに、3Dプリント技術の導入により「開発スピード」の向上ももたらされたという。「ゴルフクラブの開発は、プロゴルファーの意見などを取り入れながら、何度も何度も試作品を作り直す必要がある。従来のやり方では、型を起こして、試作品を作り出すまでに膨大な時間がかかっていたが、3Dプリント技術の導入によって、開発スピードが向上し、何度も繰り返し試作品を作り直せるというメリットを享受することができた」(西川氏)。

3Dプリント技術の導入により「開発スピード」の向上ももたらされた
3Dプリント技術の導入により「開発スピード」の向上ももたらされた[クリックで拡大] 出所:プーマジャパン

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る