ニュース
心疾患の早期発見へ、心機能の異常の有無を推定するAIの臨床研究を開始:医療機器ニュース
富士通と東京大学医学部附属病院は、心電図データから心臓の動きの異常を推定するAIについて、有効性を検証するための臨床研究を実施する。AIが異常と推定した患者は、医師が心疾患の有無を判断し、AIの有効性を検証する。
富士通は2021年10月11日、心電図データから心臓の動きの異常を推定するAI(人工知能)の臨床研究を開始すると発表した。東京大学医学部附属病院(東大病院)循環器内科において、同年10月25日〜2022年3月31日に実施する予定だ。
臨床研究では、心臓の動きの異常を推定するAIを搭載したサーバを東大病院内に設置し、蓄積した心電図データから患者の心臓の動きの異常をAIが推定する。異常と推定された患者は、心臓超音波検査(心エコー検査)を受けた上で医師が心疾患の有無を判断し、AIの有効性を検証する。
心疾患の早期発見のため、心電図検査は広く用いられている。一方で、心電図のみで心臓の形や動きの異常を把握することは難しく、心エコー検査や医師の診察が併用されている。
2019年から富士通と東大病院では、富士通の波形解析技術TDA(トポロジカル・データ・アナリシス)を活用した、心電図データから心疾患を検出するAIの開発に取り組んできた。今回、心機能の異常の有無を推定するAIを開発し、医療現場における有効性を検証することとなった。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 日常の生活環境下で心臓磁場を簡単に検出するセンサーを技術
東北大学とスピンセンシングファクトリーは、新型磁気センサー素子と外部環境磁場ノイズのキャンセル技術を開発し、日常的な生活環境においてヒトの心臓の動きから発生する微弱な磁気信号を検出することに成功した。 - 細胞の集団運動により、左右非対称な心臓が形成される仕組みが明らかに
理化学研究所は、心臓の初期発生で見られる左右非対称のループ状構造が、心臓をつくる細胞そのものの再配列により形成されることを明らかにした。 - マイクロ心臓の開発へ、培養した心筋細胞で自律的な拍動組織を形成
理化学研究所は、微小溝を持つシリコーンゴム製シート上で心筋細胞を培養し、拍動組織「心筋ブリッジ」を自発的に形成することに成功した。拍動組織は自律的に拍動し、培養液を動かすポンプの働きをするという。 - 心臓リンパ管の機能不全が冠動脈のけいれんに関与することを証明
東北大学は、心臓リンパ管の異常が冠動脈のけいれん(冠攣縮)の原因となることを、ブタモデルを用いて証明した。薬剤抵抗性の難治性冠攣縮性狭心症において、心臓リンパ管が新規治療標的となることが期待される。 - 心電図から心臓カテーテル治療の要否を瞬時に判断するAI技術
慶應義塾大学は、AIを応用して、1枚の心電図から、その患者にカテーテル治療が必要かどうかを80%以上の精度で瞬時に判定する技術を開発した。救急外来における心筋梗塞などの治療の早期化、効率化に貢献する。 - 内臓はどのように左右非対称になるか、細胞キラリティの働きを解明
大阪大学は、内臓器官が左右非対称な形に変化するための細胞の動きを明らかにした。この研究成果は、消化管や心臓など、管構造にねじれを持つ臓器の形成機構について理解を深める助けとなり、臓器再生への応用も期待される。