産学官民の共創で「プラスチック地捨地消」を実現、鎌倉を新たな循環型都市へ:3Dプリンタニュース
慶應義塾大学は産学官の共創により提案した「デジタル駆動 超資源循環参加型社会 共創拠点」が、科学技術振興機構による「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」の地域共創分野の育成型プロジェクトとして採択されたことを発表した。
慶應義塾大学は2021年10月18日、同大学を代表機関とする産学官の共創により提案した「デジタル駆動 超資源循環参加型社会 共創拠点」が、科学技術振興機構(JST)による「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」の地域共創分野の育成型プロジェクトとして採択されたことを発表した。
今回の「デジタル駆動 超資源循環参加型社会 共創拠点」に関する提案・応募は、代表機関の慶應義塾大学、幹事自治体の鎌倉市、幹事企業のカヤックをはじめとする参画企業21社、関西学院大学、国際大学、ものつくり大学によるもので、慶應義塾大学 環境情報学部 教授の田中浩也氏がプロジェクトリーダーを務める。今後「デジタル駆動 超資源循環参加型社会 共創コンソーシアム」を母体とし、地域課題と深く連携した研究開発と社会実装を進めていくとする。
同プロジェクトでは、「プラスチック地捨地消(地域で捨てられるはずのプラスチックに再度価値を与え、可能な限り地域内で長く循環的に使用するという概念)」という新たな循環型都市のビジョンを掲げ、田中氏が提唱する「リープサイクル(Leap Cycle/跳躍循環)」のコンセプトを、産学官民の共創によって社会実装することを目指す。
同プロジェクトでは、慶應義塾大学が有するデジタルプラットフォーム、IoT(モノのインターネット)、3D製造などの技術群を全面導入。3R(Reduce、Reuse、Recycle)を推進し、「ゼロ・ウェイストかまくら」の実現を目指してゴミの減量や資源化に取り組む鎌倉市におけるプラスチック地捨地消の達成を目指すとともに、資源循環の各局面に市民それぞれが参加することを通じて、充実感や豊かさを享受できる新たな社会の実現につなげていく。
また、プラスチック地捨地消のデジタルプラットフォームの実現により、資源の回収状況、材料情報、デザイン案などのデータを蓄積し、その有機的結合を促すことで、循環のみならず新規ビジネスの創出までを狙う。これら技術と社会制度のパッケージからなる「プラスチック地捨地消 鎌倉-慶應モデル」を同プロジェクト終了後、国内外へ広く展開することも計画している。
プロジェクトリーダーとして、これらの取り組みを推進する田中氏は、2013〜2021年にかけて、文部科学省/JSTによるCOI(Center of Innovation)プログラム「感性とデジタル製造を直結し、生活者の創造性を拡張するファブ地球社会創造拠点」の研究リーダー補佐として活躍。9年間にわたる研究の1つの成果として、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(東京2020大会)では、日本全国から回収した使い捨て洗剤容器24.5t(トン)をリサイクルし、3Dプリンタによって98台の表彰台(表面パネル7000枚)を作り出すプロジェクトの設計統括を務めた。これらの経験を基に、COI-NEXTでは、プラスチック地捨地消をビジョンに掲げ、産学官民の共創による研究活動、社会実装の先導役を担うという。
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