東京2020大会を彩った「世界最高輝度」のパナソニック製プロジェクター:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
パナソニック コネクティッドソリューションズ社は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会において、同社技術や製品がどのように活用されたかを紹介する説明会を開催した。
半屋外の環境下で機器の気候対策
「東京2020大会ならではの現場/設置条件」は、同大会のメインスタジアムとなったオリンピックスタジアム(新国立競技場)の環境条件に関するものである。同スタジアムは風の影響を受けやすい半屋外の環境下であり、猛暑や台風などの「東京ならではの厳しい気候条件」(松原氏)にさらされることが予想された。
このため、同スタジアム内に設置する映像/音響設備については徹底した暑さ、防水対策を施した。その上で、機器設置からリハーサル、本番開始まで4カ月間のシステムオペレーションと保守作業をCNS社が一気通貫で担当することで、「本番で大きなトラブルを起こすことなく、演出を行うことができた」(松原氏)という。
また、高輝度のプロジェクターを採用したことで、プロジェクター設置箇所は客席の4カ所と最小現に抑えることができた。音響設備については、同スタジアムの既存設備と合わせる形でRAMSAを導入して、最適な音環境を会場内で構築したという。
4Kリモートカメラを導入
放送分野での取り組みとして、CNS社では4Kカメラや4Kリモートカメラなどの4K関連技術の提供を行った。
松原氏は「今回の東京2020大会では4K対応で45回線、HD対応で76回線に加えて8Kの回線を用意した。必要な回線数はリオデジャネイロ大会の約2倍に当たり、過去最大だった。放送する競技数も33競技339種目で過去最多であり、オリンピック放送機構のコンテンツ制作時間は約9500時間に達した」と振り返った。こうした放送、映像制作業務の効率化を促しつつ、高解像度を生かした映像表現を実現する撮影、制作環境を提供したという。
具体的には現場の映像制作現場に、4K対応したスイッチャー(映像切り替え装置)やルーターなどを導入することで、4K動画制作環境における省システム化や制作オペレーションの効率化を実現した。IT/IPプラットフォーム「KAIROS」の導入によって、大型映像への画像切り出し作業も効率化したという。
また、現場にカメラマンを配置することなく撮影できる4Kリモートカメラの導入によって、屋根の上など従来であれば撮影困難な場所からでも競技映像を撮影できるようにした。「カメラの画質調整も当社がリモートできめ細かくサポートすることで、機器性能を最大限に引き出せるよう支援した。コロナ禍の省人化ニーズに沿いながら、美しく迫力のある映像を制作する環境を提供できた」(松原氏)。
放送分野ではシステム設計やシステム設置、事前テスト、機材レンタル、機器のリモートトレーニング、運用保守などの業務に、延べ2250人を動員したという。一方で、こうした大規模サービスの提供と共に、省電力を中心とするカーボンニュートラルの取り組みも併せて推進したと松原氏は語った。
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