セルロースナノファイバー強化樹脂の実証生産設備を拡張し、用途開発を加速:工場ニュース
日本製紙は、静岡県の富士工場内にあるCNF強化樹脂の実証生産設備を拡張した。CNF強化樹脂マスターバッチの品質管理を徹底し、同素材を安定して大量生産できる技術を確立する。
日本製紙は2021年9月17日、静岡県富士市の富士工場内にあるセルロースナノファイバー(CNF)強化樹脂の実証生産設備を同年7月に拡張したと発表した。拡張にあたっては、同社が参画する新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業プロジェクトの助成金を活用した。
CNF強化樹脂はポリプロピレン(PP)やナイロン6(PA6)などの樹脂にCNFを混練、分散して製造する新素材で、高い強度を特徴とする。部材の軽量化が図れるだけでなく、マテリアルリサイクル性に優れ、プラスチック使用量や温暖化ガスの排出を削減することから、自動車、建材、家電などでの利用が期待されている。
今回拡張した実証生産設備では、CNFの含有率が30〜50%と高いCNF強化樹脂マスターバッチを、年間50t以上製造できる。
同社はCNF強化樹脂の設計、開発、製造に関してISO9001の認証を取得しており、マスターバッチの品質管理を強化していく。また、安定して大量生産可能な技術を確立する。
2021年10月にはCNF強化PA6の、2022年4月からはCNF強化PPのサンプル提供を拡大。自動車部品など幅広い産業に向けて用途開発を加速させる。
同社では、既に宮城県石巻市の石巻工場で産業用途向けにTEMPO酸化CNFを、島根県江津市の江津工場で食品、化粧品向けにカルボキシメチル化(CM化)CNFを生産、販売している。
今回の設備拡張により、CNF強化樹脂の大量製造技術と供給体制を早期に確立し、新素材であるCNFの市場創出を強化する。また、減プラスチック社会の構築や地球温暖化対策にも貢献していく。
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