「商品の使われ方」を把握可能にする電池レスのシート型IoTセンサー:スマートリテール(2/2 ページ)
サトーは2021年9月28日、電池レスのIoTセンシングデバイスなどを開発するイスラエルのスタートアップWiliotと、スマートリテール分野での戦略的パートナーシップ契約を締結したと発表した。B2B2C領域での事業展開を加速する狙いがある。
「商品の使われ方」が把握できる可能性
サトー グローバル営業本部B2B2Cビジネス推進部長の平田和也氏は、IoT ピクセルを活用することで「消費者の家庭内で、購入された商品がどのような使われ方をしているのかを把握することが可能になる」と説明する。この他の用途としては、小売店舗でのリアルタイムの在庫状況確認や、物流現場での入出荷検品などが想定される。
Wiliot Chief Business Officerのトニー・スモール(Tony Small)氏は、サトーとパートナーシップ契約を締結した理由について「サトーは技術イノベーションを非常に重視しており、当社の技術にも早くから興味を示していた。また、同社が展開してきたソリューションは製造業や小売業や物流業を全てカバーしてこと、ラベル生産をはじめ、Wiliotの技術と互換性のあるラベルプリンタ製造などを手掛けていることなどから、当社技術を活用してさまざまなソリューションを開発、提供できる企業だと感じた」と説明した。
生産計画への反映や、リサイクルへの効果的な誘導も可能に
またサトーは2021年9月から、国内のホームセンター(社名非公表)で、IoT ピクセルを活用したリアルタイム在庫管理の実証実験を進めている。期間は3カ月程度を予定。実験では、店舗内の商品や棚にIoT ピクセルを貼り付けて、Bluetooth対応機器で情報を取得することで棚の在庫状態をリアルタイムで確認、在庫補充が必要な場合は従業員のスマートフォンに通知する仕組みを導入した。販売機会のロス低減や、店舗のオペレーションコスト低減などに寄与するかを検証する。将来的には店内の照明器具やゲートウェイにBluetooth対応機器を搭載することで、自動的にIoT ピクセルの読み取りを行う仕組みの構築も計画しているという。
また、サトーは今後、ホームセンター以外の場で実証実験を展開する計画もあるとした。この他、小売業以外の企業と連携して取り組みを進める可能性についても言及した。
小沼氏は「家庭内での情報を取得できるようになることで、メーカーは個々の消費者の嗜好や商品使用状況を把握しやすくなる。これらの情報を生産計画に反映する他、より説得力のある商品企画の提案や、リユースやリサイクルの誘導へと結び付けることも可能だろう。ただし当然だが、これらの取り組みは消費者による個人情報提供への同意が前提となる。消費者にとっても、家庭内の商品在庫や残量を把握しやすくなるため無駄な買い物を減らせるなど、新しい価値を受け取れる可能性がある」と説明した。
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