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新CEOはユーザー企業出身、日立の産業・流通BUは「際」を乗り越えられるか製造業×IoT キーマンインタビュー(3/3 ページ)

デジタルソリューション群「Lumada」が好調な日立製作所だが、製造業に向けたLumadaの事業展開と最も関わりが深いのがインダストリーセクター傘下の産業・流通BUである。この産業・流通BUのCEOに就任した森田和信氏に、今後の事業展開の構想などについて聞いた。

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今後の成長に向け「ドメインナレッジ」の重要さが増す

MONOist 日立をけん引するLumada事業ですが、そのさらなる成長に向けてインダストリーセクターとの連携に期待が集まっています。

森田氏 インダストリー4.0と同期する形で提案が始まったLumada事業だが、インダストリーセクターの果たす役割はどんどん大きくなっている。そこで、これからより重要さを増していくのは、さまざまな産業分野における知見やノウハウである「ドメインナレッジ」ではないかと考えている。このドメインナレッジを多く有していれば、顧客に的確なソリューションを素早く提供し、かゆいところにまで手を届けられるようになる。

日立の森田和信氏
日立の森田和信氏

 だが、ドメインナレッジはまだ不足している状況だ。日立が製造業でありテクノロジー企業である以上、まずは日立グループ内のドメインナレッジをしっかり取り込んでいきたい。これこそが日立のケイパビリティに他ならない。日立内で得られないドメインナレッジもあるが、そこで大きく貢献するのがLumadaの協創の枠組みであり、多くの顧客との成果を生かせる。Lumadaはインダストリーセクターの成長に向けたいい機会になっており、特に国内顧客に受け入れてもらえるきっかけになった。

 また、Lumadaの協創の枠組みに、日立の研究所組織が組み込まれたことも成功の要因になっていると感じている。これまで、高い技術レベルを持つことで知られる日立の研究所のメンバーが、現場に出ていく機会はあまり多いとはいえなかった。しかし、Lumadaを機に顧客の現場に日立の研究所のメンバーが直接入ってやりとりするというような事例も増えてきた。

MONOist 2021年6月に就任した新社長の小島啓二氏は、将来的な事業の枠組みとして、事業サイクルの長い鉄道やパワーグリッドなどと、それと比較して事業サイクルが短い自動車やインダストリーなどの中量産品事業、そしてITセクターなど、事業サイクルごとに再編する方針を示唆しています。産業・流通BUにとってこの方向性はどのような影響がありますか。

森田氏 社長の小島が言っているのは、複雑な日立をいかにシンプルにするかということだろう。スピード感を持って事業を回していくという観点で、産業・流通BUの顧客が求めるスピード感に対応できるようになるわけで、いいことだと考えている。そして、複雑な組織がシンプルになれば、日立グループ内で互いにつながりを持って「際」を乗り越えるためのソリューションを充実できるようになるし、日立グループ内で持つドメインナレッジの共有も進むだろう。

⇒「製造業×IoT キーマンインタビュー」のバックナンバー

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