この記事は、2021年9月16日発行の「モノづくり総合版 メールマガジン」に掲載されたMONOistの編集担当者による編集後記の転載です。
先日、ファミリーマートが店員によるレジ会計を必要としない無人決済店舗を大量出店する見通しだといくつかのメディアが報じていました。日本経済新聞によれば、同社は2024年までに無人決済に対応した店を約1000店舗展開する予定で、今後は従来型の有人店舗も出店するが、無人店舗を軸とした店舗展開を行う見通しだとのことです。報道を見る限りかなり大規模な計画で、無人店舗が今後国内で本格的に普及するきっかけになるかもしれません。
ファミリーマートは2021年3月に無人決済システムを導入した同社初の店舗として「ファミマ!!サピアタワー/S店」をオープンしています。同社が採用した無人決済システムの最大の特徴は、会計時にバーコードスキャンが必要ないという点です。店舗天井付近に設置したAI(人工知能)カメラと商品棚の重量センサーから取得したデータを組み合わせることで、顧客が商品棚から手に取った商品をシステムが自動的に特定します。顧客が商品を手にレジまで進むと、商品の合計金額が自動的に算出され、ICカードなどで会計を済ませられる仕組みです。これら一連の仕組みによって店舗の省人化を図り、人件費などを圧縮、店舗運営を効率化することが可能になります。
ところで、無人決済と聞くと「Amazon Goのような店舗を大量出店するのか」と思う方もいると思います。が、厳密に言うとファミリーマートが採用している無人決済のシステムはAmazon Goのものとは少し異なります。
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