障がいのあるスタッフの業務をMRで支援するシステムを構築:VRニュース
日本マイクロソフトは、障がいのあるスタッフの業務をMRで支援する、バンダイナムコウィルの取り組みを紹介した。装着すると作業手順や作業ガイドが表示される「HoloLens 2」を活用したシステムで、安全で円滑な作業を支援する。
日本マイクロソフトは2021年9月8日、障がいのあるスタッフの業務をMR(複合現実)で支援する、バンダイナムコウィルの取り組みを紹介した。MicrosoftのMR(複合現実)デバイス「HoloLens 2」を活用し、障がいのあるスタッフの作業支援システムを構築している。
バンダイナムコウィルは、障がい者の雇用促進を目的とした、バンダイナムコグループの特例子会社。グループ各社の玩具などの開発や制作のサポート、メールルームの業務、オフィスクリーニングなど幅広い仕事を受託している。
同社では、障がいのあるスタッフの業務領域拡大に注力しており、障がいの度合いによって担当作業を分けるのではなく、全員がチームとして作業することで、自信とやりがいを感じてほしいと考えていた。その思いと、障がい者支援に「HoloLens」を活用したいという日本支援技術協会の提案が結び付き、MRを活用した3Dプリンタ操作ガイドの検討を2020年12月に開始した。
Microsoft Mixed Realityパートナーの認定企業である南国アールスタジオが開発を担当し、2021年3月末にHoloLens 2とHoloLens用のアプリケーション「Dynamics 365 Guides」を活用したガイダンスコンテンツの最初のバージョンが完成。同年5月より、スタッフが3Dプリンタ本体の材料交換作業に利用している。
HoloLens 2を装着すると作業マニュアルが空間上に表示され、作業手順を確認できる。また、3Dプリンタ本体に材料の容器やスイッチの場所が矢印で表示されるなど、次の動作を案内する作業ガイドが表示されることで、安全で円滑な作業を支援する。
今後は、他の業務に同システムの活用を広げていくことで、個性を尊重し、社会に貢献する企業を目指すという同社ビジョンを推進していく。
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