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製造現場に広がる「画像」や「映像」の活用、何に生かすべきかいまさら聞けないスマートファクトリー(12)(2/4 ページ)

成果が出ないスマートファクトリーの課題を掘り下げ、より多くの製造業が成果を得られるようにするために、考え方を整理し分かりやすく紹介する本連載。前回から製造現場でつまずくポイントとその対策についてお伝えしていますが、第12回では、スマートファクトリー化を進める中で活用が広がっている「映像」「画像」の使いどころについて紹介します。

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広がる製造現場での画像活用

 おや、矢面さんが今日も印出さんのところに来たようです。今日は珍しく慌てていませんね。

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印出さん、こんにちは。前回はありがとうございました。私が調整に入ることで何とかうまく回るようになりました。


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矢面さん、こんにちは。それはよかったわね。


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うまくそれぞれの話をかみ砕いて説明するようにしていたら、なんかそれぞれで意気投合しちゃってすごくいい感じです。でも、回り始めると今度は“空気”になりつつあり、少し寂しいです……。


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まあ、調整役はそのくらいがちょうどいいのよ。また、困ったことがあれば乗り出していく感じで気楽に構えていなさい。それで、今日はその報告?


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いや、それだけじゃないんです。今度その回り始めたプロジェクトで個々のセンサー代わりにカメラの「映像」を使えないかという話になったんですが、そもそもの使いどころとかあまり自分の中で整理できていなくて、よかったら教えていただきたいと思ったんです。


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なるほどね。製造現場の画像活用には「G」「I」「G」「I」の4つの領域があるといわれているわ。


 製造現場向けの画像認識製品を展開している米国Cognex(コグネックス)では、製造現場における画像認識技術の活用領域として、「G」「I」「G」「I」という4つの領域を挙げています。

 1つ目の「G」は「Guidance(位置決め)」で、画像を使ってモノの位置を正確に認識し正しく作業を行えるようにすることを指します。2つ目の「I」は「Identify(認識)」で、文字やバーコード、2次元コードなどの認識を示しています。3つ目の「G」は「Gauge(寸法計測)」で、画像を使った寸法の計測です。4つ目の「I」は「Inspection(検査)」で画像によるさまざまな検査を指します。検査領域での画像認識技術の活用は大きな期待を集めており、用途の拡大が広がっているところです。

 これらの領域での画像の活用は以前から行われてきましたが、技術的な発展や成熟、コストの低廉化などにより、製造現場で利用できる可能性のある領域が一気に拡大し、期待を集めています。

 大きかった要因の1つが、カメラの性能の向上とコストの低廉化です。民生品などの技術も活用し、高精細な映像を簡単に扱えるようになっています。周辺の映像を扱うストレージやネットワークの技術なども手ごろになりつつあり、物理的に工場内の多くの場所にカメラを取り付けて活用できる可能性が生まれてきました。

 もう1つが、ディープラーニング(深層学習)などAI(人工知能)関連技術の発展です。これにより特に「G」「I」「G」「I」それぞれの精度や設定の効率が圧倒的に高まり、利用できる領域が大きく拡大しようとしています。ディープラーニング技術は、画像や映像との相性がよく、従来は詳細にパターン定義をしなければ認識できなかった画像なども、学習によりある程度の精度で認識できるようになります。これによりパターン定義が多岐にわたり過ぎて適用できなかった「認識」や「検査」を使う画像活用が広がってきています。

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なるほど「位置決め」「認識」「寸法計測」「検査」の領域で、人手作業の負担が大きくて困っていた領域をターゲットにすればよさそうですね。


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