タンクの在庫量を自動計測してクラウドへ、取り付け工事不要のレベル計:FAニュース
エンドレスハウザージャパンは2021年8月31日、オンライン展示会「ITmedia Virtual EXPO 2021 秋」(会期:2021年9月1〜30日)の新製品発表会において、測定器を設置することが困難な場所でも簡単に設置可能なレベル計「新型レーダーレベル計 Micropilot FWR30」を同年10月1日に発売すると発表した。
エンドレスハウザージャパンは2021年8月31日、オンライン展示会「ITmedia Virtual EXPO 2021 秋」(会期:2021年9月1〜30日)の新製品発表会において、測定器を設置することが困難な場所でも簡単に設置可能なレベル計「新型レーダーレベル計 Micropilot FWR30」を同年10月1日に発売すると発表した。
スイスのEndress+Hauser(エンドレスハウザー)は工業用プロセスオートメーション向け計測機器専門メーカーとして1953年に創業。従業員数は1万4500人で、売上高は約3350億円。製造拠点は世界11ヵ国に合計25工場を構え、自社販売・サービス拠点を世界50カ国、代理店は70カ国に広がっている。
新製品「Micropilot FWR30」は、測定点のデジタル化が容易になり、いつでもどこからでもレベル情報にアクセスできるようになることがポイントだ。また、多様なアプリケーションでの活用が期待でき、液体、粉体を問わず、金属タンク、樹脂タンクなどさまざまな環境で使用できる。
AdBlueなどのSCR用尿素水やセメント混和剤などの液体添加剤、セメントや融雪剤などの粉粒体など、プラスチックタンクを活用する材料は多い。特にIBCタンクは、液体、半固体、ペースト、または固体の大量処理、輸送および保管用に設計された工業用グレードのコンテナで、クリーニングにより複数回の使用が可能であるためさまざまな用途で活用されている。しかし、IBCタンクは、簡単にアクセスできない場所や、電源が配備されていないような場所に配置されているケースも多く、在庫量の把握に、時間や労力がかかる場合も多かった。
効率的で確実な供給を行うためには、各サイトにおける全タンクの残液量の正確な把握は不可欠である。そのため、エンドレスハウザーではレーダー液面計センサーを小型化した新製品として、「Micropilot FWR30」をリリースした。新製品は既に海外では2020年に発売されているが「国内でのさまざまな法規をクリアしたことで日本でも販売を開始する」(エンドレスハウザージャパン マーケティング部 プロダクトマーケティンググループマネージャーの正木義久氏)。
取り付け工事なくセンシングが可能
新製品は、高度な測定技術と使いやすいデジタルサービスを1つに統合したものだ。機器をクラウド接続することで、継続的に記録された測定データを、いつでもどこからでも閲覧できる。柔軟性の高いデジタルサービスにより、既存のシステムへの統合も容易だ。
センシング機器部分の設置は、いくつかの簡単な手順に従うだけで行える。内蔵バッテリーにより、外部電源を使用せずに操作することができ、データはLTE通信で伝送する。大きさは、サイズが120×120mm、高さ48mmとなっている。「配線は不要で設置だけですぐに使用できる」(正木氏)。レーダー技術を利用しているため、計測は非接触で、しかもプラスチック素材を透過させて液面を計測可能としている。「つまり、タンクに穴をあけるなどの加工は一切不要となる」(同社マーケティング部長 吉野博通氏)。
センサーにより取得したデータは、ダッシュボード画面により簡単に確認できる。オンラインのため、場所も時間の制約がない。また、ヒストリカルトレンドにより、過去のトレンドを確認でき、時系列の測定値とイベントデータの相関により在庫量予測に活用できる。さらに、しきい値設定や通知機能により、計測値がしきい値に達したときに登録アドレス宛にメールで通知することなども可能だ。
その他、マップ機能により、各デバイスの位置情報から、地図上に測定ポイントを表示し、タップすることで計測ポイントの詳細情報を表示することもできる。APIによりエンドレスハウザーのクラウド「Netilion Cloud」から、ユーザーの既存システムにデータ統合することも可能だ。価格は約10万円で、月額(定額)の通信費用が700円程度必要となる。
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