人手作業のデータ化、ポイントは「自然に自動で」:いまさら聞けないスマートファクトリー(6)(1/3 ページ)
成果が出ないスマートファクトリーの課題を掘り下げ、より多くの製造業が成果を得られるようにするために、考え方を整理し分かりやすく紹介する本連載。前回から製造現場でつまずくポイントとその対策についてお伝えしていますが、第6回では、人手さ作業のデータ化についてさらに掘り下げます。
スマートファクトリー化は製造業にとって大きな関心事であるにもかかわらず、なかなか成果が出ないという課題を抱えています。本連載では、スマートファクトリーでなかなか成果が出ないために活動を縮小する動きに危機感を持ち、より多くの製造業が成果を得られるように、考え方を整理し分かりやすく紹介します。
第4回からは、製造現場の中で起こる見落とされがちなポイントや難しい点について紹介しています。第6回となる今回は、前回も取り上げた、データ化が難しい人手作業をさらに掘り下げたいと思います。
本連載の趣旨
本連載は「いまさら聞けないスマートファクトリー」とし、スマートファクトリーで成果がなかなか出ない要因を解き明かし、少しでも多くの製造業がスマートファクトリー化で成果が出せるように、考え方や情報を整理してお伝えする場としたいと考えています。単純に解説するだけでは退屈ですので、架空のメーカー担当者を用意し、具体的なエピソードを通じてご紹介します。
架空企業の背景
従業員300人規模の部品メーカー「グーチョキパーツ」の生産技術部長である矢面辰二郎氏はある日、社長から「第4次産業革命を進める」と指示され途方に暮れます。そこで、第4次産業革命研究家の印出鳥代氏に話を聞きに伺い、さまざまな課題をクリアしていきます。
本連載の登場人物
矢面 辰二郎(やおもて たつじろう)
自動車部品や機械用部品を製造する部品メーカー「グーチョキパーツ」の生産技術部長兼IoTビジネス推進室室長。ある日社長から「君、うちも第4次産業革命をやらんといかん」と言われたことから、どっぷりのめり込む。最近閉塞感にさいなまれている。
印出 鳥代(いんだす とりよ)
ドイツのインダストリー4.0などを中心に第4次産業革命をさまざまな面で研究するドイツ出身の研究者。インダストリー4.0などを中心に製造業のデジタル化についてのさまざまな疑問に答えてくれる。サバサバした性格。
*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。
前回のあらすじ
さて、前回のおさらいです。第5回の「古い機械や人手作業、データ化されていない情報をどうスマート化すべきか」では、データが簡単に取れない古い機械や人手作業からデータを取るためにはどういう取り組みが必要になるのかについて紹介しました。
私も完璧な正解というのは分からないわよ。でも、いくつか成果が出ているところを見てみると大枠では「新たなセンサーを設置する」「デジタルデータへ変換する」などの取り組みで進めていることころが多いわね。
工場で稼働する古い機械では、データを外に送り出す機能がないものも多くあります。こうした機械からデータを取得するためには新たなセンサーを設置して、そのデータを活用するというものか、従来取得しているアナログデータをデジタルデータに変換することで一元的に活用できる仕組みを用意するかが考えられます。
一方で人手による作業については、トリガーを設定してデータ化していくことが重要だという話でした。また、その中では映像や音声などもトリガーとして設定できるようになっており、これらを有効活用することもポイントだとしていました。
こちらもまだまだ現在進行形で変化しているところだけど、大枠では「トリガーとなるものを決める」と「映像や音声を活用する」などがポイントになってきそうね。
さて、今回は前回も触れた人手作業のデータ活用について、もう少し掘り下げて解説していきたいと考えています。
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