2D CADと3D CAD、設計環境としての“違い”とは?:テルえもんの3Dモノづくり相談所(2)(3/3 ページ)
連載「テルえもんの3Dモノづくり相談所」では、3Dモノづくりを実践する上で直面する“よくある課題”にフォーカスし、その解決策や必要な考え方などについて、筆者の経験や知見を基に詳しく解説する。第2回のテーマは「2D CADと3D CADの設計環境としての違い」だ。
2D図面は必要か? 3D CADは必要か?
3D設計を行った場合、最終的なアウトプットとして、2D図面を作るのか?/作らないか? については以前から議論されてきました。加工を外部に依頼する際に2D図面が必要だったり、社内での保管用に必要だったりと、それぞれの事情で2D設計、2D図面が必須だという状況があることもよく理解できますし、当然2Dならではの良さもあるわけですから、2D図面を全く作製しないというのも少々乱暴な気もします。ただ、3Dもやって2Dもやってでは、設計者の負担も増えるばかりです。そこで、3D CAD移行に併せて提案したいのが、2D図面は簡易的なものにとどめて、“3Dモデルを正”にして仕事を進めるというアプローチです。
CADソフトはあくまでも道具(ツール)なので、道具をうまく使いこなし、使い分けていくことが重要です。3D CADを使っていないから会社として時代から取り残されている、使っているから進んでいるということではありません。使用するツールはどうあれ、最終的に設計して生み出されるものが成果物であるということを忘れてはなりません。
重要なのは、自社に合った設計の仕方やCADを選択して業務を行っていくことです。そして、業務を改善、改革していくには、これまでの業務フローを見直し、変えていくことも重要です。もし、3D CADを導入するのであれば、2D CADで仕事をしていたときとは別の社内ルールや業務フローが必要になることでしょう。それらを検討する際は、くれぐれも設計者の負担が増えないように注意してください。 (次回へ続く)
筆者プロフィール
テルえもん/本名:小原照記(おばら てるき)
いわてデジタルエンジニア育成センターのセンター長、3次元設計能力検定協会の理事も務める。3D CADを中心とした講習会を小学生から大人まで幅広い世代の人に行い、3Dデータを活用できる人材を増やす活動をしている。また企業の困り事に対し、デジタルツールを使って支援している。人は宝、財産であると考え、時代に対応する、即戦力になれる人財、また、時代を創るプロフェッショナルな人財の育成を目指している。優秀な人財がいるところには、仕事が集まり、人が集まって、より魅力ある街になっていくと考えて地方でもできること、地方だからできることを考えて日々活動している。
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