第1弾は「移動式サウナ」、KDDIが未来の生活を実現する共創プロジェクト開始:イノベーションのレシピ(2/2 ページ)
KDDIは2021年8月24日、10年後の社会を見据えたような新しいライフスタイルを取り入れた個人との共創を実現するプロジェクト「FUTURE GATEWAY」の開始した。またプロジェクトの第1弾として、移動式サウナプロジェクト「Hoppin'Sauna」の取り組みも発表した。
バイタルセンサーや5G技術を活用する「移動式サウナ」
FUTURE GATEWAYの第1弾プロジェクトとして発表されたHoppin'Saunaは、「いつでもどこでも“ととのえる”」をコンセプトとして移動式サウナを開発するという試みである。“ととのう”とは、サウナ入浴中に心身のバランスが理想的に仕上がった状態を指す言葉である。Hoppin'Saunaでは最新のテクノロジーを用いることで、“ととのう”体験をどこでも提供できる「移動式サイバーフィジカルコンディショニングシステム」の実現を目指す。
具体的には「自動運転」「バイタルセンサー」「5G」「分散型水循環システム」の4つのテクノロジーを組み合わせて活用する予定だ。小型バスのような自動運転車の内部をサウナ用空間として改装した上で、バイタルセンサーによって入浴者の身体の状況をモニタリングして最適な湿度、温度を提案するシステムを導入する。また5Gを使うことで、外気に当たって身体を冷やす「外気浴」というフェーズに、風だけでなく自然の風景映像や環境音などを車内に流す。分散型水循環システムを活用することで、シャワーも車内で浴びられる環境を導入する予定だ。この他、内装に使うアイテムは、環境に配慮した素材を材料として3Dプリンタで制作する。利用者の好みに合わせて内装をカスタマイズできる仕組みの導入を目指すという。
バイタルセンサーについてはVIE STYLEが開発する脳活動センサーを、分散型水循環システムはWOTAの水再生率98%を実現する自律分散型水循環システムの活用をそれぞれ予定している。
いつでもどこでも理想のサウナ体験を
Hoppin'Saunaの発案者であるAddres Hopper CEOの市橋正太郎氏は、1カ所に定住することなく世界各地のホテルや民宿を転々と旅をするように移動する「アドレスホッピング」を実践している。
市橋氏はHoppin'Saunaのアイデアを発想した理由について「アドレスホッピングは各地で新しい体験ができて刺激が多い分、心身の疲れがたまることも多い。そのため自律神経を落ち着けてリラックスするため、各地でサウナに入浴しており、その流れで私自身もサウナのプロデュースなどを手掛けてきた。しかし、行く先々に必ずサウナ施設があるわけでも、十分に“ととのう”ことができる環境が整備されているわけでもない。このため、いつでもどこでも理想のサウナ体験を実現できる環境を実現したいと考えた」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- NECの技術はシリコンバレーで花開く、シーズから起業を狙う「NEC X」
NECは2021年5月18日、NECの先端技術を中核とする新事業創出を目的に設立したNEC Xの説明会を開催した。NEC Xはシリコンバレーの起業家や投資家のエコシステムを活用することで、これまでに3社の事業化に成功している。説明会ではNEC Xと米国トップアクセラレーターであるAlchemist Acceleratorとのパートナーシップ連携についても発表した。 - パナソニックは社内ビジネスコンテストで「未来のカデン」を探し出す
パナソニック アプライアンス社は2021年4月22日、社内外で生まれた新しいビジネスアイデアを事業化まで導く社内アクセラレーションプロジェクト「ゲームチェンジャー・カタパルト」に関する説明会を開催した。顧客課題や社会課題解決に寄与する新たな事業アイデアを社内のビジネスコンテストで公募し、有望なアイデアの事業化を目指す。 - イノベーションは制約からの解放で生む、ソニーが捉える5分野11種類の制約とは
オンライン展示会「バーチャルTECHNO-FRONTIER2021冬」(2021年2月2〜12日)のオンライン講演にソニー 主席技監の島田啓一郎氏が登壇。「ニューノーマル時代の生活文化と顧客価値と技術革新と産業創出」をテーマとし、コロナ禍のよる生活の変化とそれに伴い重要性を増す技術について語った。本稿ではその内容を紹介する。 - パナソニックがインド発の新規事業、「クロスボーダー事業開発」が活動を加速
パナソニックが本社直轄のイノベーション推進部門 イノベーション戦略室の傘下に2020年10月に開設した「クロスボーダー準備室」の活動内容について説明。同室で進めている「クロスボーダー事業開発」では、パナソニックインドが手掛けた成功事例を日本国内に展開するなどして、5カ月間で21件の現場実装を行ったという。 - コロナ禍を契機にデジタルシフトできるのか、日本に期待されるイノベーション像
NEDOは2020年7月31日、「2020年度NEDO『TSC Foresight』オンラインセミナー」を開催。同セミナーでは、NEDO TSC(技術戦略研究センター) デジタルイノベーションユニット長の伊藤智氏が「コロナ禍後の社会変化と期待されるイノベーション像」をテーマに講演を行った。