パナソニックがインド発の新規事業、「クロスボーダー事業開発」が活動を加速:イノベーションのレシピ(1/2 ページ)
パナソニックが本社直轄のイノベーション推進部門 イノベーション戦略室の傘下に2020年10月に開設した「クロスボーダー準備室」の活動内容について説明。同室で進めている「クロスボーダー事業開発」では、パナソニックインドが手掛けた成功事例を日本国内に展開するなどして、5カ月間で21件の現場実装を行ったという。
パナソニックは2021年3月5日、オンラインで会見を開き、本社直轄のイノベーション推進部門 イノベーション戦略室の傘下に2020年10月に開設した「クロスボーダー準備室」の活動内容について説明した。同室で進めている「クロスボーダー事業開発」では、パナソニックインドのインドイノベーションセンターが手掛けた成功事例を日本国内に展開するなどして、5カ月間で21件の現場実装を行ったという。2021年度からはさらに活動を加速し、現場実装の数を倍増のペースにしていきたい考えだ。
「パナソニックはまだポテンシャルを生かし切れていない」
パナソニック イノベーション戦略室 クロスボーダー準備室 推進進責任者の中村雄志氏は「当社が世の中の困りごとに対してビジネスとしてイノベーションを起こせているかというと、必ずしもそうとはいえない。特に、大きな組織であるが故にそのポテンシャルを生かし切れていない。まだまだやれるはず、という実感がある」と語る。
この課題の背景には、日本が成熟市場であり、モノが十分に行き渡っているための潜在ニーズの掘り起こしの難しさや、既存システムの存在が新たな取り組みの障壁になることなどがある。
一方、まだ成長市場であるインドにあるパナソニックインドのインドイノベーションセンターは、2017年4月の組織設立以降、顧客起点でアジャイルな事業創造の仕組みを構築しており、4年間で10件の事業化を実現している。
中村氏は「インドという成長市場で求められるさまざまなニーズに対して、パナソニックインドはまだ組織が大きくないからこそスピード感を持って事業化の取り組みを行えている。そのインドでの成功例を『リバースイノベーション』という形で、日本などの成熟市場に持ち込み、イノベーションの循環を起こす。これが、クロスボーダー事業開発の取り組みになる」と説明する。
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