トヨタの営業利益率はコロナ禍でも12.6%、ホンダは販売減を体質強化でカバー:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
トヨタ自動車とホンダは2021年8月4日、2022年3月期(2021年度)第1四半期(4〜6月)の連結業績を発表した。トヨタ自動車は販売台数がコロナ禍前の2019年4〜6月期の水準まで回復。営業利益は4〜6月期としては過去最高を達成した。ホンダも、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響を受けた前年から販売、業績ともに回復を見せた。
ホンダは販売見通しを下方修正、業績予想は上方修正
ホンダの2021年4〜6月期の連結決算は、売上収益が前年同期比68.7%増の3兆5838億円、営業損益が2432億円の黒字(前年同期は1136億円の損失)、四半期損益が2225億円の黒字(前年同期は808億円の損失)となった。販売台数の回復や、従来より取り組んでいる既存事業の盤石化の効果で収益が改善した。
2021年度通期の業績見通しは上方修正した。売上収益が前回予想から2500億円増の15兆4500億円(前期比17.3%増)、営業利益が1200億円増の7800億円(同18.1%増)、当期利益が800億円増の6700億円(同1.9%増)を見込む。
販売台数の見通しは、ライフクリエーション事業を前回予想から40万台増に引き上げたが、四輪事業は15万台減、二輪事業は60万台減に下方修正している。アジアを中心にCOVID-19が再拡大している影響や、半導体のサプライヤーと調整した結果を反映したという。
四輪事業では当初、半導体の供給不足によって2021年度上期に10万台の影響が出る想定で、下期で挽回する計画だった。2021年4〜6月期の影響は想定通りだったが、2021年7〜9月期にルネサス エレクトロニクスからの供給遅れやロックダウンによって当初の見込みを上回る影響が出るため現状の生産キャパシティーでは挽回が難しいと判断し、下方修正した。
販売台数の下方修正の他、貴金属やアルミニウム、プラスチック、鉄など原材料費の高騰など業績へのマイナス要因はあるが、販売費や一般管理費のさらなる抑制やコストダウンで吸収する。
売上高 | (前年同期比) | 営業損益 | (前年同期比) | 当期損益 | (前年同期比) | 業績予想の修正 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
トヨタ | 79,355 | 72.5 | 9,974 | - | 8,978 | - | 無 |
300,000 | 10.2 | 25,000 | 13.8 | 23,000 | 2.4 | ||
ホンダ | 35,838 | 68.7 | 2,432 | - | 2,225 | - | 有(上方修正) |
154,500 | 17.3 | 7,800 | 18.1 | 6,700 | 1.9 | ||
日産 | 20,082 | 71.0 | 757 | - | 1,145 | - | 有(上方修正) |
97,500 | 24.0 | 1,500 | - | 600 | - | ||
マツダ | 8,034 | 113.3 | 261 | - | 114 | - | 無 |
34,000 | 18.0 | 650 | 637.0 | 350 | - | ||
スバル | 6,351 | 39.0 | 295 | - | 185 | - | 無 |
33,000 | 16.6 | 2,000 | 95.2 | 1,400 | 83.0 | ||
三菱自 | 4,319 | 88.2 | 106 | - | 61 | - | 有(上方修正) |
20,800 | 42.9 | 400 | - | 150 | - | ||
※業績の上段が2021年4〜6月期の実績、下段は2021年度の通期見通し。金額の単位は億円。前年同期比の増減は%。 |
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