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多種多様な駆動用バッテリーの残存価値を評価、日本総研が中国で実証へ電気自動車

日本総合研究所は2021年7月15日、中国広東省において電気自動車(EV)の駆動用バッテリーの残存価値を診断する技術の試験を実施したと発表した。

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 日本総合研究所は2021年7月15日、中国広東省において電気自動車(EV)の駆動用バッテリーの残存価値を診断する技術の試験を実施したと発表した。複数の自動車メーカーのEVで使用したバッテリーを対象に3種類の診断技術の適用可能性を評価。各社の使用済みバッテリーの残存価値を短時間で診断できることを確認した。診断技術を生かし、中古EVや使用済みバッテリーの市場形成に貢献する。

 診断技術の評価はBACE(Battery Circular Ecosystem)コンソーシアムの2020年度の取り組みとして実施した。同コンソーシアムは、電池の残存価値診断やレアメタル抽出の関連技術、リースや保険、流通などに強みを持つ企業が参画して2020年10月に発足した。メンバーは日本総研の他、損害保険ジャパン、横河ソリューションサービス、三井住友ファイナンス&リース、EV部品のサプライヤー、材料メーカーなど。

 中国で実施した評価では、三元系やリン酸鉄系のバッテリー22種類に対して、ゴイク電池とカウラが開発した診断試験3種類(ゴイク法、等価回路学習法、充放電法)を試した。

 従来の診断技術では1回につき数時間を要したが、診断技術によっては100分の1程度に時間を短縮できることが分かったという。また、診断技術ごとに適用できる電池と適用できない電池を分類し、診断技術と電池の種類を適切に組み合わせるためのデータを収集した。

 今後は診断試験を発展させ、自動車メーカーの枠を超えて幅広い種類の電池に適用できる診断技術を確立する。EVの駆動用バッテリーは進化や改良、車種ごとの最適化、材料変更などによって仕様が増えており、診断方法も多様で複雑になると見込んでいる。

 また、試験時間の短縮だけでなく、小規模な拠点でも簡易な評価を行えるようにする。電池の診断情報を集積、流通させることにより、中古EVや使用済みバッテリーの市場形成を図る。2021年度は、中国での診断サービスの実証と事業化の検討を進める。日本国内でもEVのリセールバリュー向上に向けて電池の品質評価を中心に取り組む。

 中国では新車のEVで利用を終えた電池は、80%程度の能力を残したまま廃棄され、有効な再利用は一部にとどまっている。日本の経済産業省の調査では、中国で廃棄されるEVの駆動用バッテリーの規模は2030年に年間60GW(ギガワット)に達すると見込まれている。

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