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課題山積の二輪車の電動化、ホンダはどう取り組むのか電気自動車(3/3 ページ)

「人とくるまのテクノロジー展2021オンライン」では、電動化に関するさまざまな提案が行われた。同時開催の新車開発講演でも、ホンダが「電動二輪車の普及に向けた取り組み」を紹介。

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 ビジネスEVバイクの開発では、既存のエンジン車から最小限の変更で搭載できることを目標とし、PCXエレクトリックのEVシステムをベースに改良した。モバイルパワーパックは横に2個配列し、直列接続した96V系の電力を採用。パワーコントロールユニットで三相交流に変換してモーター駆動する。また、EVならではの機能として前進に加えて、モーターの逆回転による後進アシストを採用した。シート下に2つ配置した着脱式バッテリーは、1回のハンドル操作のみでバッテリーの固定とコネクターの嵌合を可能にした新機能を採用。1回の操作で2つのバッテリーの着脱操作をより簡単に行うことができる構造とした。


GYRO e:はビジネスEVバイク第2弾となる(クリックして拡大) 出典:ホンダ

 モーターも長期間使用するビジネスユースでの使用を考慮し、モーター交換の作業性を向上した。アルミ製のモーターケースとモーターカバーを新設し、ステーターとローターを固定することでモーターをユニット化。車両への着脱はユニット交換のみとし、ローター交換のメンテナンス性を大幅に向上した。

最高速度や走行距離はどう決めた?

 走行性能について、GYRO e:の開発責任者を務めた二輪事業本部・ものづくりセンターのチーフエンジニアである中川英亮氏は、「四輪車との混合交通でも安心して走行可能な動力性能と、日々の業務に必要な走行距離を明確にして、それぞれの目標設定を行った」と説明する。具体的には、車速頻度分布によると「時速30km以下の使用が8割以上で、時速50km以上の走行は約3%と非常に少ない。最高速度は時速50kmあれば9割カバーできることから、最高速度をBENLY e:では時速60kmと設定した」(中川氏)という。

 走行距離についてチーフエンジニアの中川氏は「調査結果によると、半日当たり平均20km、最大で30kmだった。1日当たりの走行距離にすると50kmで80%以上の使用をカバーできる」と説明。さらに「事務所で必要に応じてバッテリーを交換すれば、より多くの要望をカバー可能で、実用的な走行距離としてWMTCモードで50km実現した」と説明する。

 ビジネスEVバイクの投入の狙いについて中川氏は、「パーソナルユースでは距離によっては目的地でバッテリーを交換する必要があるが、ビジネスユースではある程度決まった距離を走り、店舗に戻ってバッテリーを交換すればよい」と着脱式バッテリーと業務用の親和性の高さを強調する。

 加えてEVならではの利点として、中川氏はメンテナンス項目が削減でき利便性が向上する点に注目した。その理由として「動力源がエンジンからモーターに変わることで、オイルやフィルター、チェーンといった消耗品の交換が不要になる。長期間使用するとどうしても必要となるエンジン関連部品の交換も必要なく、1台当たりの走行距離が長いビジネスユースでは有利となる」とEVバイクのメリットを挙げる。ビジネスバイクでは「整備状況を考慮すると、動力源が交換できるモバイルパワーパックの効力が最大限発揮できる」という考え方だ。


日本郵便が配達業務に採用したBENLY e:(クリックして拡大) 出典:ホンダ

 EVバイクについて、これまで着脱式バッテリーの可能性やビジネス用途でのニーズを探ってきたホンダだが、今後の展開について佐藤氏は「2024年までに予定しているパーソナルユースの原一、原二クラスなど3種類の新型EVを投入する」と説明する。さらに、実用性重視の商品だけでなく「FUN領域でのEVの投入も計画している」といい、四輪車同様に二輪車でも電動化シフトを加速させていく方針だ。

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