EVの収益性がエンジン車に並ぶまで「あと2〜3年」、VWが2030年までの戦略発表:電気自動車(2/2 ページ)
フォルクスワーゲン(VW)は2021年7月13日、オンラインで会見を開き、2030年に向けたグループ戦略を発表した。
3つのソフトウェアプラットフォームで各ブランドをカバー
ソフトウェアに関しては、2025年までに主要なソフトウェアプラットフォームを開発する。社内で開発したソフトウェアの比率は、現在の10%から60%に引き上げる。開発はグループのCARIADが中心となる。
取り組むソフトウェアプラットフォームは3つある。1つはVWブランドのEV「ID.」シリーズなどMEBを採用した製品のソフトウェアで、無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)も含む。2つ目は、アウディやポルシェのPPEを採用したEV向けの、アップデート可能なプレミアムなソフトウェアプラットフォームとなる。3つ目は新しく統合されたスケーラブルなソフトウェアプラットフォームと、エンドツーエンドの電子アーキテクチャだ。VWグループのブランド全てで採用する車両用の統合OSと、レベル4の自動運転システムが含まれる。
常時接続の自動運転車から膨大なリアルタイムデータを得て学習することで、VWグループの車両は顧客のニーズに合わせて新しい機能やサービスに継続的に更新できるようにする。
欧州の3カ所目のバッテリーセル工場はスペインに
バッテリーに関しては、すでに戦略を発表しており、欧州に6カ所のバッテリーセル工場を立ち上げ、年間の生産能力を240GWhとする計画だ。6カ所のうち、すでに明らかになっているのはスウェーデンのスケレフテオとドイツのザルツギッターの2カ所。スウェーデンではNorthvolt(ノースボルト)と協業し、2023年から生産を開始する。ドイツのザルツギッターの生産拠点は2025年から操業を開始する。ザルツギッターの生産拠点では中国のGotion High-Techとの協力を決めた。3番目の生産拠点はスペインにすると発表した。スペインでの電動車のバリューチェーンを確立する。
2025年から自動運転車の移動サービス
モビリティサービスに関しては、2025年から欧州で自動運転車を使った移動サービスを提供する計画だ。米国でも同様にサービスを提供する。
2030年までに欧州のサービスとしてのモビリティの市場は700億ドル(約7兆7000億円)に拡大するという。これに向けて、現在ドイツ・ミュンヘンでのパイロットプロジェクトで自動運転バスをテストしている。ドイツの他、中国や米国の他の都市でも同様のプロジェクトを展開する。
モビリティサービスの開発パートナーとなるのは、自動運転バス向けの制御システムの開発を手掛けるARGO AIと、乗用車向けのレベル4の自動運転システムを開発するCARIADだ。VWグループ傘下のブランド全ての製品を統合できるプラットフォームを持つことにより、レンタル、サブスクリプション、シェアリング、ライドシェアまで、さまざまなサービスを1台の車両がこなせるようにし、市場シェアと収益の拡大につなげる。
欧州、中国、米国が重要な市場
2030年に向けて、VWグループは欧州と中国のユーザー基盤強化と、北米でのシェア拡大に取り組む。中国では販売面ではID.シリーズを展開するとともに、建設中の研究開発拠点や新エネルギー車生産の合弁会社を新たなEV専用プラットフォームのSSPのローカルハブ拠点とする。さらに、現地での採用を拡大する。現在CARIADの中国の拠点では、1000人の現地人材がエンジニアとして働いているという。米国市場では、政府が推進する電動車の普及戦略に合わせてEVの展開を加速させる。
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