自動運転システム検証基盤ソフトウェアを公開、シナリオベースの開発を支援:車載ソフトウェア
NTTデータ オートモビリジェンス研究所は、自動運転システム検証基盤ソフトウェア「GARDEN ScenarioPlatform」をオープンソース化した。自動運転ソフトウェア開発における、シナリオベースの開発プロセスをサポートする。
NTTデータ オートモビリジェンス研究所(ARC)は2021年6月22日、自動運転システム検証基盤ソフトウェア「GARDEN ScenarioPlatform」のソースコードを、GitHub上でオープンソース化したと発表した。自動運転ソフトウェア開発におけるシナリオベースの開発プロセスをサポートする。
GARDEN ScenarioPlatformは、自動運転システムに必要な機能群のソフトウェア化を推進する研究開発プロジェクト「GARDEN」の成果の一部だ。同プラットフォームを利用することで、自動運転ソフトウェアの機能動作シミュレーションで実行可能なシナリオを生成できる。
また、シナリオベース開発プロセスにおいて、FOT(フィールド実証実験)などから得た走行データを分析してシナリオを抽出し、統計データからパラメーターの範囲を特定できる。専門知識から得た検証シナリオの場合は、抽象度の高いシナリオ記述からシミュレーションを実行可能な具体的なシナリオへ段階的に記述できる。
シミュレーションには、「Autoware」や「Simulink」との接続実績がある「CARLA」を用いる。さらに、国際標準フォーマット「OpenSCENARIO」「OpenDRIVE」に対応するシミュレーターとの連携も想定している。
今回公開したのは、初回バージョンの「GARDEN ScenarioPlatform acacia(アカシア)」となる。自動車メーカーやサプライヤーによる利用を想定しており、自動運転システムの開発促進に貢献する。
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