富士通とリコー、工場全体の生産状況を可視化するシステムを共同開発:製造IT導入事例
富士通とリコーは、工場可視化ソリューションを活用した工場全体生産状況可視化システムを共同開発した。リコーの沼津事業所内のケミカル工場で、既に本稼働を開始している。
富士通は2021年6月21日、同社の工場可視化ソリューション「FUJITSU Manufacturing Industry Solution COLMINA工場最適化ダッシュボード(COLMINA工場最適化ダッシュボード)」を活用して、工場全体生産状況可視化システムをリコーと共同開発したと発表した。リコーの沼津事業所内にあるケミカル工場で、既に本稼働を開始している。
沼津事業所は、重合トナーやインクといった画像形成用サプライ製品などの研究開発と製造を担っている。重合トナーを生産するケミカル工場では、製品がタンクや配管、加工機内を流れており、設備センサー、サンプリング検査などで製品の状態を把握していた。しかし、少人数で生産現場を安全に管理するには、迅速に工場の稼働状況を伝達して、安全操業と品質確保につなげる必要があった。
両社は今回、COLMINA工場最適化ダッシュボードを活用して、工場の生産状況を可視化する工場全体生産状況可視化システムを共同で開発。ケミカル工場全体の生産設備から収集した稼働情報や稼働ログデータを、管理に必要な指標にリアルタイムで加工、蓄積する。
これを可視化することで、工場の安全性や品質状況を直感的かつ迅速に管理可能になる。また、スマートフォンやタブレットと連携することで、時間および場所に関係なく工場の各種状況が確認できる。これにより現場管理者は、遠隔からでも現場作業者に作業指示を出せる。
今後、今回導入したケミカル工場と同様の事業工場へも、同システムを展開する予定だ。
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