日本発の「ソフトウェアにも注目した消費電力評価指標」が国際標準規格化:製造マネジメントニュース
電子情報技術産業協会(JEITA)は2021年6月21日、ISO/IECの合同専門委員会において、ソフトウェアの働きを考慮したエネルギー効率指標「Application Platform Energy Effectiveness(APEE)」が可決され、国際標準規格として同年6月に発行されたと発表した。同指標は2018年に日本が提案したものである。
電子情報技術産業協会(JEITA)は2021年6月21日、ISO(国際標準化機構)とIEC(国際電気標準会議)の合同専門委員会において、ソフトウェアの働きを考慮したエネルギー効率指標「Application Platform Energy Effectiveness(APEE)」が可決され、国際標準規格として同月に発行されたと発表した。同指標は2018年に日本が提案したものである。
新たに発行された規格の名称は「ISO/IEC 23544 Application Platform Energy Effectiveness(以下、APEE)」である。
APEEはITサービスのエネルギー効率指標を算出するための測定方法や、結果報告の仕方などを規定している。具体的には、サーバなどIT機器のハードウェアと、そこで稼働するソフトウェアの組み合わせを「アプリケーションプラットフォーム」と定義して、その上でベンチマーク測定用のプログラムを実行する。プログラムの実行期間中に計測したIT機器の消費電力量を基に、アプリケーションプラットフォームのエネルギー効率を算出する。
ハードウェアの消費電力量は、その機器固有の性能だけでなく、OSやミドルウェアなどのソフトウェアによる運転/制御の効率性によっても左右される。JEITAは、デジタルインフラとして重要性が高いが、省エネの観点から消費電力量などが問題視されやすいデータセンターを例に挙げて、「データセンターの消費電力は今後も増加することが見込まれている。省エネを推進するには、かねて取り組んできたデータセンター設備やIT機器などハードウェアのエネルギー効率向上に加えて、ソフトウェアによるハードウェアの運転/制御の効率化を進める必要がある」と指摘する。その上で、APEEはソフトウェアの工夫によって処理能力を落とすことなく、IT機器の省エネ化を達成しているかを見極める指標になるとしている。
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