VWが欧州で再エネ発電の建設を支援、EVをカーボンニュートラルに使うため:電気自動車
フォルクスワーゲン(VW)は2021年4月29日、2050年のカーボンニュートラル達成に向けた2030年までのロードマップを発表した。2025年までに脱炭素化に140億ユーロ(約1兆8490億円)を投資する。販売面では、2030年までに欧州の販売比率の70%を電気自動車(EV)とする他、北米と中国もEVの販売比率を50%以上に引き上げる。
フォルクスワーゲン(VW)は2021年4月29日、2050年のカーボンニュートラル達成に向けた2030年までのロードマップを発表した。2025年までに脱炭素化に140億ユーロ(約1兆8490億円)を投資する。販売面では、2030年までに欧州の販売比率の70%を電気自動車(EV)とする他、北米と中国もEVの販売比率を50%以上に引き上げる。また、EVの新モデルを毎年1車種以上追加するとしている。さらに、EVの充電や生産活動で再生可能エネルギーの導入を拡大するため、風力発電所や太陽光発電所の建設も支援する。
同社は、2030年までに欧州における車両1台のCO2排出量を2018年比40%に削減することを目指す。これまでの目標である2018年比30%削減から引き上げた。欧米中でEVの販売を積極化するだけでなく、サプライチェーンのカーボンニュートラル化や、使用済みのEVから回収したバッテリーのリサイクルにも取り組む。原材料の90%以上を再利用し、バッテリーと原材料のクローズドループを構築する。
EVの充電に再生可能エネルギーによる電力を用いることで、標準的なEUの電力構成での充電と比べてCO2排出量をほぼ半減できるという。現在も自宅向けの充電サービス(Volkswagen Naturstrom)や出先の充電サービス(IONITY 充電ステーション)向けにグリーン電力を供給しているが、今後のEVの販売拡大に向けて再生可能エネルギーによる発電所の建設を支援していく。2030年までに欧州でVWのEV販売比率が70%以上になると、台数としては100万台以上になる。2025年までに欧州の複数の地域に風力発電所や太陽光発電所を新設する。
ドイツの電力会社RWEと契約を締結しており、全ての発電所のプロジェクトを合計すると2025年までに7テラWhのグリーン電力を供給できる計画だ。EVの普及に合わせて再生可能エネルギーによる電力の供給量を増やすことで、EVをカーボンニュートラルに利用できるようにする。まずは2021年末にドイツ北東部で太陽光発電所が稼働する。年間総容量は1億7000万kWhだ。国の補助金なしで建設しており、「42万個のソーラーモジュールを組み込んだドイツ最大のソーラープロジェクト」(VW)だとしている。
生産拠点でも再生可能エネルギーによる電力の比率を増やしていく。現在、EVの「ID.」シリーズを生産するドイツのツヴィッカウ工場や、「ID.3」「ID.4」向けのバッテリーセル生産拠点がグリーン電力で稼働している。これ以外にも11カ所の工場がグリーン電力のみを使用している。2030年以降、中国以外の全ての生産拠点を完全にグリーン電力で稼働させる計画だ。
さらに、サプライヤーの協力の下、バッテリーハウジングやホイールのアルミニウム材料、タイヤなど10以上の部品でCO2排出量を削減し、車両1台あたりのCO2排出量を2トン改善する。新しいEVのプロジェクトではサプライヤーとの契約に当たってCO2排出量も重要な基準とするという。建設中のバッテリーセルの生産拠点をグリーン電力で稼働させる他、傘下のフォルクスワーゲングループコンポーネンツでも脱炭素戦略を推進する。
エンジンのみで駆動する最後のプラットフォームは2026年に開発する。その後、開発はEVのみが対象となるという。2030年にはVWの14車種のうち、9車種がEVになる。2025年にはエントリーレベルの小型EVを投入する。
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