5G通信基地局市場は中長期的にピークアウトも、RRH・RUは4兆8983億円規模に拡大:製造業IoT
富士キメラ総研は、5G通信関連の世界市場に関する調査結果を発表した。2030年には基地局数が127万局に減少するが、RRH・RUの世界市場は2019年比で38.4倍に達すると予測している。
富士キメラ総研は2021年5月27日、5G通信関連の世界市場に関する調査結果を発表した。2030年には基地局数が127万局に減少するが、RRH・RU(無線送受信装置)の世界市場は2019年比で38.4倍に達すると予測する。
これまではD-RAN基地局が中心だったが、直近はC-RAN基地局が増加しており、今後も当面は伸長するという。しかし、BBU・CU・DU(ベースバンド処理装置)の設置場所を親局とし、そこから10km圏内にRRH・RUを子局として複数設置することで、一局あたりのカバーエリアが広くなること、5G通信向けの投資も落ち着くことから、市場は中長期的にピークアウトするとしている。
長期的には基地局市場の縮小が予想されるが、子局としてRRH・RUを複数設置できるC-RAN基地局の増加により、RRH・RU市場の拡大が見込まれる。同市場は2030年に4兆8983億円となり、2019年比で38.4倍に達すると予測する。
また、RRH・RUの市場拡大に伴って、基地局向けのアンテナやRFフロントエンドの需要も増加する。2030年の基地局向けアンテナ市場は2019年比3.7倍の2兆470億円、RFフロントエンド市場は同9.5倍の3兆2230億円と予測している。
エッジ機器市場では、スマートフォン市場の緩やかな拡大が続くと予想される。2030年の販売台数は2019年比103.5%の14億6000万台で、そのうち5G通信対応製品が14億台と、全体の95.9%を占めるとしている。
同調査は2020年10月〜2021年2月に実施され、アプリケーション(基地局、エッジ機器)や基地局向けデバイス・材料、エッジ機器向けデバイス・材料を対象とした。詳しい調査結果は、「5G通信を実現するコアテクノロジーの将来展望 2021」にまとめている。
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