ザイリンクスがエッジAI向け新製品、単位ワット当たりの性能は「NVIDIAの4倍」:車載半導体
ザイリンクスは2021年6月9日(現地時間)、7nmプロセスを採用した適応型演算プラットフォーム「Versal ACAP(Adaptive Compute Acceleration Platform)」に自動運転車や協働ロボットなどエッジ向けの新シリーズ「Versal AIエッジ ACAP」を追加したと発表した。
ザイリンクスは2021年6月9日(現地時間)、7nmプロセスを採用した適応型演算プラットフォーム「Versal ACAP(Adaptive Compute Acceleration Platform)」に自動運転車や協働ロボットなどエッジ向けの新シリーズ「Versal AIエッジ ACAP」を追加したと発表した。
競合となるNVIDIAの組み込みAI(人工知能)プラットフォーム「Jetson AGX Xavier」と比較して単位ワット当たりのAI性能を4倍に高めたという。また、前世代の製品となるザイリンクスの「Zynq UltraScale+ MPSoC」と比較すると、演算密度は10倍に向上したとしている。
Versal AIエッジ ACAPは2021年下半期にツールの提供を開始し、2022年上半期から量産する。評価キットは2022年下半期から提供する計画だ。
実装面積は半減で演算量は4倍
Versal ACAPはこれまでクラウドやネットワーク向けに展開してきた。Versal AIエッジ ACAPの特徴は、ポートフォリオ全体で車載グレードを提供する点と、単位ワット当たりの処理性能とレイテンシに焦点を当てて低消費電力を実現する点だという。自動車向け機能安全規格ISO 26262に準拠するとともに、−40〜+125℃のの温度範囲に対応した。
レベル3の自動運転システムをザイリンクスの製品で構成すると、前世代のZynqの場合は、前方監視カメラやサラウンドビュー、ドライバーモニタリングシステムなどアプリケーションごとにSoCが必要だった。Versal AIエッジ ACAPの場合は、1つのデバイスで同様のアプリケーションをカバーするだけでなく、ディスプレイやLiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)の処理にも対応する。消費電力が同等のまま、演算量はZynqを使ったシステムから4.4倍に向上できるという。また、1つのデバイスで複数のセンサーの処理をまかなえることから、実装面積も58%減らすことが可能だ。
自動車だけでなく、ロボットやスマート監視カメラなどそれぞれの市場に合わせたライブラリやフレームワーク、エコシステムも提供する。幅広い要件に対応し、カスタムのAIや画像処理、センサー処理を実装できる「ドメイン特化アーキテクチャ」としてだけでなく、数msで機能を入れ替える「ダイナミックファンクションエクスチェンジ」にも適応する。また、単一のアーキテクチャで10TOPS(1秒当たり10兆回の演算)から100TOPS(1秒当たり100兆回の演算)以上までの処理性能をカバーする。
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