NVIDIAがADAS用カメラもカバー、ロボタクシーは処理性能を6倍に:自動運転技術
NVIDIAは2020年5月14日(現地時間)、自動運転車向けのプラットフォーム「NVIDIA DRIVE」に次期型のSoC(System on Chip)「Orin」と新たなGPUアーキテクチャ「Ampere」を導入すると発表した。
NVIDIAは2020年5月14日(現地時間)、自動運転車向けのプラットフォーム「NVIDIA DRIVE」に次期型のSoC(System on Chip)「Orin」と新たなGPUアーキテクチャ「Ampere」を導入すると発表した。
従来の同社プラットフォームと比べて6倍以上(ワット当たりでは4倍)の処理性能を発揮することが可能で、完全無人運転となるレベル5の自動運転から、低消費電力が要求されるADAS(先進運転支援システム)まで単一のアーキテクチャでカバーする。ADASと高度な自動運転を別個のシステムとして開発するのはコストの負担が大きい。単一のアーキテクチャと開発者コミュニティーを提供することで、自動運転開発を支援する。
OrinファミリのSoCは2021年からサンプル出荷を開始し、2022年後半から新車での採用を見込む。ADAS向けは2023年から採用される見通しだ。
Orin SoCとAmpereアーキテクチャで大幅な性能アップ
今回発表したOrin SoCとAmpereアーキテクチャは、消費電力5Wで処理性能10TOPS(1秒当たり10兆回の演算が可能)のADAS向けカメラから、処理性能2000TOPS(1秒当たり2000兆回の演算が可能)で消費電力800Wのレベル5の自動運転車(ロボタクシー)向けまでカバーする。消費電力45Wで処理性能200TOPS(1秒当たり200兆回の演算が可能)のレベル2+の自動運転システムも対応する。
ADAS向けカメラはフロントガラスに取り付ける前方監視用で、Orin ADAS SoCで動作する。ロボタクシーには2つのOrin SoCと、2つのAmpere GPUを搭載し、2000TOPSの演算処理能力を実現する。高解像度なセンサーの入力を処理し、高度な自律走行用DNNを処理することがでる。
現行世代の自動運転プラットフォームである「DRIVE AGX」は、Xavier SoCとTuringベースのGPUの組み合わせを変えることで、レベル2以上の自動運転からレベル5の完全自律運転までの機能を提供している。DRIVE AGX Xavierの処理性能は30TOPS(1秒当たり30兆回の演算が可能)で、NVIDIA DRIVE AGX Pegasusプラットフォームは最大320TOPS(1秒当たり320兆回の演算が可能)の処理を行う。Orin SoCとAmpereアーキテクチャの導入により、大幅な性能アップを図る。
エコシステムも強みに
NVIDIAは、自動運転車向けにエンドツーエンドのソリューションを提供することに注力している。具体的には、走行データや周辺環境データの収集とデータのラベル付け、シミュレーション、AI(人工知能)の学習、車載コンピュータまでカバーする。3D CGの強みを生かしたドライビングシミュレータも展開しており、車載半導体の供給にとどまらない。
NVIDIAのオートモーティブシニアディレクターであるダニー・シャピロ(Danny Shapiro)氏は、NVIDIA DRIVEのエコシステムの充実もソリューションの強みとして挙げた。トヨタ自動車など乗用車メーカーや、商用車メーカー、大手のメガサプライヤーに加えてライドシェア企業などもエコシステムに参加している。
NVIDIAは中国の新興自動車メーカー、スタートアップやツールベンダー、運輸事業者とも連携を深めている。具体例として、United Parcel ServiceやUS Postal Service、Jaguar Land Roverの無人運転車プロジェクト「Project Vector」、MathWorksとのプロジェクトを挙げた。
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