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製造業では無償が当たり前のソフトウェア、どうすれば有償のサブスクに導けるかサブスクで稼ぐ製造業のソフトウェア新時代(11)(3/3 ページ)

サブスクリプションに代表される、ソフトウェアビジネスによる収益化を製造業で実現するためのノウハウを紹介する本連載。第11回は、製造業では無償が当たり前のソフトウェアを、どのようにすれば有償のサブスクリプションに導けるかについて検討していく。

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ハードウェアの陳腐化をコントロールすることが付加価値になる

 どのようなソフトウェアの機能が付加価値になるのか、ハードウェアメーカーではたびたび議論になる。ソフトウェアは、ハードウェアでは賄いきれない付加価値の源泉を生み出せるようになる。例えば、大幅に作業工程が楽になったり、効率化できたり、ソフトウェアによってハードウェアを使うだけでは得られないような、潜在的な課題が解決できる。ソフトウェアによって作業効率の向上や新しい体験が得られることが付加価値の中心だ。

 しかし、ソフトウェアとライセンシングテクノロジーの組み合わせが実現させる最大の付加価値とは、ハードウェアを陳腐化させることも、延命させることも自在だということだ。

 ハードウェアはソフトウェアが最新の機能を提供し続けることによって、常に最新の状態を保つことができる。サブスクリプションでソフトウェアを契約して最新状態を維持できれば製品が時代遅れになることを阻止できる。

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※図はイメージです

 逆に、古いハードウェアを使い続けるためにはソフトウェアのライセンスが必要になるということだ。ライセンスでハードウェアのサポートを売るという意図に近い。動作を制御できれば古いハードウェアでもソフトウェアの契約をベースに使い続けられる。従来では収益が全く見込めなかっただろう、古いプラットフォームをサポートするための費用を、ライセンス契約で回収することが可能になるのだ。海外ではよくある中古のハードウェアでも同様に、ソフトウェアによって新たに息吹を吹き込むことさえできるだろう。

 それでもライセンス契約を嫌がる顧客は、従来通りハードウェアを買い換える必要に迫られるだろう。それでもその顧客は新しいハードウェアに搭載されたソフトウェアから、妥当な顧客体験を手に入れられるようになる。

 こうしてエンドユーザーは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせから得られる新しい体験を享受していくことで、今までよりもさらにビジネスを加速させることができるようになる。エンドユーザーこそ、ソフトウェアによって研ぎ澄まされた製品とサービスを得られる機会があることを理解すべきである。

 こうして収益化のためにライセンシング技術を活用することによって、従来のハードウェア企業のビジネスを根本から変革する能力がソフトウェアビジネスには秘めている。ハードウェアで稼ぐよりも、ソフトウェアで稼ぐ方が、ビジネスとしてはずっと効率的なのは火を見るよりも明らかではないだろうか。

筆者プロフィール

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前田 利幸(まえだ としゆき) タレスDIS CPLジャパン株式会社(日本セーフネット株式会社/ジェムアルト株式会社)ソフトウェアマネタイゼーション事業本部 シニアアプリセールスコンサルタント ビジネス開発部 部長

ソフトウェアビジネスに取り組む企業に対して、マネタイズを実現するためのコンサルティングやトレーニング、ソリューション提案を実施。全国各地で収益化に関するセミナーや講演活動を展開。IoT関連企業でシニアコンサルタントを経て現職。同志社大学 経営学修士(MBA)。二児の父。

Sentinelソフトウェア収益化ソリューション https://cpl.thalesgroup.com/ja

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