先端ロジック半導体のファウンドリを国内誘致へ、半導体・デジタル産業の国家戦略:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
経済産業省は2021年6月4日、半導体産業やデジタル産業を国家戦略として推進する「半導体・デジタル産業戦略」を取りまとめ公開した。全ての産業の根幹にデジタル産業、半導体産業があると位置付け、先端ロジック半導体の量産化に向けたファウンドリの国内誘致推進などの戦略を紹介した。
日本が強い産業を支える半導体先進技術の設計開発強化
製造だけでなく、自動走行、FA、スマートシティーなどのアプリケーションシステムやデジタルユースケースに必要なロジック半導体の設計開発の支援も進める。デジタル投資(デジタルニューディール)、DX(デジタルトランスフォーメーション)促進と先端ロジック半導体の設計開発に並行して取り組むことで、ロジック半導体の需要喚起を進める。先端ロジック半導体のユーザー企業とその設計企業、さらには通信キャリアやベンダーが一体となってエッジ向けの半導体設計技術の開発を推進する。
具体的には、ポスト5G情報通信システムにおける5G情報通信システムにおける半導体技術の開発を推進する他、HPCやAIによる高性能、低消費電力な次世代のデータセンターを実現するため、半導体技術(CPU、アクセラレータ、メモリなど)と光エレクトロニクス技術(光電融合デバイス)を融合させたシステム開発を実施する。また、電動車やコネクトカーのSoC、センサーなどでのコンピューティングを最適化するソフトウェア設計や半導体設計技術、車載光エレクトロニクス技術の研究開発なども行う。
その他、自動走行、FA・IoT、医療・ヘルスケアなどのアプリケーションシステムに必要なAIロジック半導体の設計開発、ポスト「富岳」を見据えた次世代計算基盤の整備などを推進する。核となる設計拠点整備なども進める。
カーボンニュートラルに向けた半導体技術開発を支援
カーボンニュートラルに向け電力消費を抑える半導体技術の開発強化も推進する。省エネ、低消費電力化のキーパーツであるパワー半導体については、革新素材(SiC,GaN,Ga2O3)によるイノベーションを促進。また、光配線化によるデータセンターの省エネ化、2030年のBeyond5G/6Gのオール光時代を見据えた光エレクトロニクスデバイス、光電融合プロセッサの開発も進める。
また、半導体供給のレジリエンス強化に向け、経営や人材面での国際連携強化や各種線を進める方針だ。日米連携の他、台湾や欧州などとの連携も推進する。デジタル産業基盤としてのロジック半導体工場の先進化を支援する他、開発支援などにも積極的に取り組む。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- TSMCが産総研内に評価用ライン構築、経産省の次世代半導体技術支援で
経済産業省は2021年5月31日、「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の「先端半導体製造技術の開発(助成)」における実施者として、「高性能コンピューティング向け実装技術」に関するTSMCなど、5件の採択を決定した。 - 半導体の開発力低下やサプライチェーン混乱に対する国家戦略を提言――JEITA
電子情報技術産業協会(JEITA)の半導体部会は2021年5月19日、経済産業省に対し「国際競争力強化を実現するための半導体戦略」とした提言書を提出したことを発表した。 - 半導体露光機で日系メーカーはなぜASMLに敗れたのか
法政大学イノベーション・マネジメント研究センターのシンポジウム「海外のジャイアントに学ぶビジネス・エコシステム」では、日本における電子半導体産業の未来を考えるシンポジウム「海外のジャイアントに学ぶビジネス・エコシステム」を開催。半導体露光機業界で日系企業がオランダのASMLに敗れた背景や理由について解説した。 - 半導体不足は2022年以降に状況改善か、車載や無線用途が拡大する見通し
ガートナー ジャパンは2021年5月11日、2020年の半導体市場の動向と2021年以降の市場見通しに関する説明会を開催した。現在、各業界で深刻化する半導体不足の状況は2022年以降に改善に向かうと予想する。 - 72台の装置を半日で稼働、日本発「ミニマルファブ」が変える革新型モノづくり
産総研コンソーシアム ファブシステム研究会などは「SEMICON Japan 2016」で、「ミニマルファブの開発成果を発表。同研究会などが推進するミニマル生産方式による製造装置「ミニマルシリーズ」72台を設置し、半導体製造工程のほとんどをカバーできるようになった成果をアピールした。 - フォックスコン顧問が語る“失われた20年”が生んだ日本の未来とは?
日本のモノづくり環境は大きな変化を迎えている。多くのグローバル企業から製品組み立てを請け負うグローバル製造業から見たとき、日本のモノづくりの価値はどう映るのだろうか。フォックスコン顧問を務めるファインテック代表取締役社長の中川威雄氏は「“失われた20年”で苦しんだ経験こそが世界が欲しがる貴重なものだ」と指摘する。