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人間らしく会話を続けるGoogleのLaMDA、自動車で使える日が待ち遠しい自動車業界の1週間を振り返る(3/3 ページ)

土曜日です。1週間、お疲れさまでした。じめじめした憂鬱な天気が続きますね。ここ数年は大雨に関連した災害のニュースが目立ちます。何事もなく雨の季節が終わるのが一番ですが、何事もないことを祈るばかりでは仕方ありませんので、少しでも備えておきたいですね。

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F-150はEV化しても米国人に愛されるのか

 今週も電動化に関するニュースが続きました。例えば、トヨタ自動車とパナソニックの共同出資会社であるプライムプラネットエナジー&ソリューションズがEV用とハイブリッド車(HEV)用のリチウムイオン電池の生産ラインを2021年内に増やすという発表がありました。個人的に注目したいのは、Ford Motor(フォード)のフルサイズピックアップトラック「F-150」のEV(電気自動車)版の発表です。米国大統領のジョー・バイデン氏はフォードのEV工場を見学し、2022年春に生産するF-150のEV版「F-150ライトニング」にも試乗したようです。


F-150ライトニング(クリックして拡大) 出典:フォード

 F-150ライトニングは563馬力を発揮し、一部モデルは1万ポンド(約4535kg)ものけん引に対応します(日本に暮らしていると、一体なにを運ぶのかと思ってしまいますね)。走行距離は230〜300マイル(約370〜480km)で、住宅での1日の使用電力を30kWhとすると最大3日間、建物に給電できるそうです。無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)にも対応しており、新機能を追加したり、ディーラーに行かずに修理したりできるとしています。フォードはコネクテッドに関しては、OTAでハンズオフ対応の運転支援システム「BlueCruise」を有料で配信する他、アマゾンと今後6年間で車載向けのアレクサや新しいサービスの開発と提供で協力を強化する方針です。

 人気車種であるだけに、電動化もコネクテッドも全力投球した印象です。日本経済新聞のF-150ライトニングに関する記事には「政権や車メーカーがいくら旗を振ろうと、消費者のニーズが伴わなければ市場は広がらない。ライバルメーカーからは『F-150でダメなら米国はしばらく無理だ』との声も漏れる」との一言がありました。

 F-150ライトニングの価格はエントリーモデルで3万9974ドルから、より上級のモデルで5万2974ドルからとなっており、販売中のガソリンエンジンモデルとほぼ同等です。安価な夜間電力で充電したり、電気料金が高い時間帯に住宅に給電したりできる充電システム「フォードインテリジェントパワー」を用意するだけでなく、米国のソーラーパネル会社とも提携して太陽光発電の電力による充電環境も提供します。十分なお膳立てなのではないでしょうか。

 電動化をけん引するのは自動車メーカーのお膳立てではなく、エネルギー業界の方かもしれません。ブルームバーグによれば、国際エネルギー機関(IEA)は2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするロードマップを公表し(※)、油田や天然ガス田、炭田の新規開発を現時点でストップしなければ危険な気温上昇に直面するという見通しを示しました。2050年までにエネルギー需要に占める化石燃料の割合を現在の80%から20%に減らすことが必要であるといいます。

(※)関連リンク:https://www.iea.org/reports/net-zero-by-2050
https://www.iea.org/news/pathway-to-critical-and-formidable-goal-of-net-zero-emissions-by-2050-is-narrow-but-brings-huge-benefits-according-to-iea-special-report

 今回のGoogle I/Oの発表内容と各国の自動車メーカーが取り組む電動化は、どうも対照的に思えてなりません。グーグルと自動車メーカーのビジネスモデルや収益構造は全く違いますので単純に比べることはできませんが、「これが人々の生活を便利にし、必要とされるものなんだ」という自信や手応えに開きがあるように見えます。そうでなければ「F-150でダメなら……」という声は出ないはず。ニーズが読めなくても、他の業界の顔色を伺いながらでも、電動化という旗を振り続けなければならないのは自動車業界の苦しいところですね。

 とはいったものの、自動車メーカーが自信満々でも売れないクルマはありますし、グーグルだって立ち消えになったサービスや製品はいろいろあるでしょうから、自信があれば普及するとは限りません。EVであれ内燃機関車であれ「F-150」というクルマが愛されているのか、米国人がクルマに求めるものが何なのかを占うという意味で、F-150ライトニングの売れ行きは大変気になるところです。

 トヨタ自動車やダイハツ工業が、半導体供給不足の影響で生産調整を行うなど、自動車業界はしばらく落ち着かない状況が続きそうです。トヨタとダイハツが半導体不足で生産を止めるのは今回が初めてなのだとか。“作り置き”状態の未完成のクルマがどんどん増えている自動車メーカーもあると報道されています。来週は明るいニュースの多い1週間になってほしいものです。

→過去の「自動車業界の1週間を振り返る」はこちら

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