F1以上のコーナリング性能のシャシーも生まれた「スーパーフォーミュラ」:モータースポーツ超入門(6)(1/2 ページ)
スーパーフォーミュラ(SF)は国内最高峰のフォーミュラレースだ。世界の頂点にはF1(フォーミュラ・ワン)があり、欧州で開催される下位クラスのF2とともに、F1にステップアップするための登竜門カテゴリーとして世界中から注目を集めている。過去にはF1ワールドチャンピオンのミハエル・シューマッハ氏やインディ500ウイナーの佐藤琢磨氏、現在、F1のアルファタウリ・ホンダに所属するピエール・ガスリー氏も2017年に参戦している。
スーパーフォーミュラ(SF)は国内最高峰のフォーミュラレースだ。世界の頂点にはF1(フォーミュラ・ワン)があり、欧州で開催される下位クラスのF2とともに、F1にステップアップするための登竜門カテゴリーとして世界中から注目を集めている。過去にはF1ワールドチャンピオンのミハエル・シューマッハ選手やインディ500ウイナーの佐藤琢磨選手、現在、F1のアルファタウリ・ホンダに所属するピエール・ガスリー選手も2017年に参戦している。
海外製シャシーに日本製のエンジンとタイヤを組み合わせたマシンを使うスーパーフォーミュラは、高い技術力に裏打ちされたハイレベルの戦いが、世界に通用するF1ドライバーを輩出する源泉となっている。
英国、日本、米国、イタリア……シャシーの移り変わり
2013年から行われているスーパーフォーミュラ。国内トップフォーミュラレースの歴史をひもとくと、スーパーフォーミュラのルーツは1973〜1977年に開催された「全日本F2000選手権」に行き当たる。その後、1978〜1986年は「全日本F2選手権」、1987〜1995年は「全日本F3000選手権」、1996〜2012年は「フォーミュラ・ニッポン(FN)」としてレースを実施。国際自動車連盟(FIA)が規定するカテゴリーとの相違などによって、その時々で大会名称を変えてはいるものの、一貫して国内トップフォーミュラとしての歴史を紡いできた。
おおよそ50年にわたる国内トップフォーミュラの歴史だが、シャシーについては欧州製が主流であり続けている。F2ではノバやコジマといった日本製シャシーが奮闘したものの、マーチを中心にラルト、スピリットなど英国勢が大勢を占める状況だった。
ステージをF3000に移しても構図は変わることはなく、英国のローラやレイナードがシャシーを供給した。一方、国内勢では林みのる氏が1978年に京都で創業した童夢、レーシングカーデザイナーの由良拓也氏が設立したムーンクラフトが参戦。1994年には童夢が国産車シャシーとして初めてチャンピオンを獲得している。
フォーミュラ・ニッポンではレイナードとローラ、童夢、Gフォースがシャシーを供給した。ただ、ローラとGフォースの戦闘力が低かったこともあり、シリーズを重ねるごとにレイナードを採用するチームが増える状況だった。フォーミュラ・ニッポンがスタートした1996年から2002年にレイナードが倒産するまでの7年間、レイナードは6回のシリーズチャンピオンを獲得している。2003年から2008年まではローラの独占供給が続いた。
2009年シーズンからは米国の自動車、航空部品などを手掛けるスウィフト・エンジニアリング製のシャシーが採用された。米国で行われているオープンホイールレース「CART」に同社がシャシーを供給していたこともあり、ワイド&ローで流麗なデザインが特徴だった。スウィフト製シャシーはスーパーフォーミュラに移行した2013年シーズンまで使用された。
スーパーフォーミュラ2シーズン目となる2014年からは、イタリアの自動車メーカーでありモータースポーツコンストラクターのダラーラがシャシーを供給している。「SF14」と呼ばれるダラーラ製シャシーは2019年シーズンまで5年にわたり使用された。ドライバーからの評価は極めて高く、コーナリング性能はF1以上といわれるほどの実力を持っていた。
2019年シーズンから同じくダラーラ製の「SF19」にモデルチェンジ。近年のモータースポーツに求められるコスト低減を実現し、高い安全基準を満たしつつ、空力特性を見直すなどして抜きつ抜かれつのバトルを実現するシャシーに仕上げた。F1やフォーミュラEでも採用されるドライバー頭部保護装置「Halo」も導入している。
スーパーフォーミュラはスーパーGTとともに国内トップレースカテゴリーでありながら、シャシーについては総じて海外製で占められているのが実情だ。日本は世界に誇る自動車大国でありながら「モータースポーツは産業として振興していない」(レースチーム幹部)という実態を映し出していると指摘する声も少なくない。
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