回復顕著なDMG森精機、新生産拠点など中国市場を強化:製造マネジメントニュース
DMG森精機は2021年5月12日、2021年度(2021年12月期)第1四半期の業績を発表。売上収益は前年同期比で減収となったものの受注残高では7四半期ぶりの1000億円台に回復するなど、回復傾向にあることを示した。
DMG森精機は2021年5月12日、2021年度(2021年12月期)第1四半期の業績を発表。売上収益は前年同期比で減収となったものの受注残高では7四半期ぶりの1000億円台に回復するなど、回復傾向にあることを示した。
減収も利益は回復、受注残高は7期ぶりの高水準
DMG森精機の2021年度第1四半期の連結業績は、売上収益が前年同期比7%減の811億円、営業利益は同21.8%増の40億円、税引き前利益は同2.5倍の31億円、当期利益は同18倍となる18億円となった。売上高、各種利益指標ともに、まだ低水準ではあるものの、受注が好調で、受注残高は当初見込みの850億円を大きく上回り、2019年度第2四半期以来7四半期ぶりの1000億円超えとなる、1014億円となった。
DMG森精機 取締役社長の森雅彦氏は「受注は中国を中心としながらも全世界的に力強く回復してきている。また、売上高は減収となったが、営業利益は増益を確保した。最終利益も大幅に改善している」と第1四半期の手応えについて語っている。
受注残高は、中国と欧州を中心に急速な回復傾向を示している。「早期にコロナ禍の影響から抜け出した中国地域の旺盛な需要に加え、ドイツを中心とした欧州も回復傾向である。ドイツ以外ではトルコなどで受注が伸びている。中国の受注残高は過去最高の数字となっている。日本は回復が遅れているが、引き続き受注残高は第1半期の水準を維持していきたい」と森氏は語っている。
これらの好調な受注状況を踏まえ、2021年度通期の業績見込みについては上方修正を行う。売上高は前回予想比150億円増の3450億円、営業利益は同30億円増の140億円、税引き前利益は同30億円増の95億円、当期利益は同20億円増の60億円に引き上げている。
中国市場強化で新工場を続々建設
重点施策としては、好調な中国市場のさらなる強化を図る。中国の新たな生産拠点として、上海近郊に新工場を建設する。新工場「DMG MORI Pinghu Manufacturing Solutions(仮称)」は敷地面積が7万m2で、5軸加工機のDMUシリーズを中国向け仕様で生産する。生産能力は年間1000台から開始する。総投資予定額は5000万ユーロ(約63億円)で2023年に操業開始予定としている。
また、現在生産を行っている天津工場についても生産能力増強を図る。現在の生産工場の隣接地に新工場を建設する。新工場の建屋面積は約2万m2で、現在の工場と合わせて年間1000台の生産を行う。生産品目は横型マシニングセンタ、立型マシニングセンタ、自動化システム、主要ユニット部品で、総投資額は30億円。2025年1月に操業を開始する予定だ。
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