安川電機、レーザー溶接用のロボットアームと設備をパッケージで提供：産業用ロボット
安川電機は、レーザー溶接用のロボットアームと設備などをパッケージで提供する「MOTOPAC-RL2D300-GP25JP」を発売した。溶接速度や品質向上に必要な条件の設定を含め、設備導入から稼働までトータルでサポートする。
安川電機は2021年4月20日、レーザー溶接用のロボットアームと設備などをパッケージで提供する「MOTOPAC-RL2D300-GP25JP」を発売した。アーク溶接、スポット溶接用に続く新製品で、自動車や建機などの金属部品の高速溶接に適している。
自社製の小型軽量レーザー照射ヘッド（質量約16kg）を、同じく自社製の中型多用途適用型ロボット「MOTOMAN-GP25」（可搬質量25kg）に搭載。レーザー照射ヘッドまでの配線、配管の一部はロボットアーム内へ収納でき、取り回しの簡素化と周辺への干渉を回避する。設備設置面積が小さいため、既設のアーク溶接設備への入れ替えや新規導入が容易だ。
レーザー照射ヘッド内で照射方向を高速、高精度に微動させることで、太い溶接線を確保するウォブリング溶接機能を搭載。パッケージ製品のため機器間の親和性は高く、ウォブリング溶接機能、溶接速度、レーザー出力、入射角度などの溶接条件はロボットのプログラミングペンダントで設定可能だ。溶接対象の厚み、形状、材質に応じた最適な溶接条件を効率的に検討でき、アーク溶接では難しかった溶接途中での条件変更にも対応する。
8kW高出力レーザー照射により、アーク溶接の1.5〜4倍の高速溶接に対応。さらに、レーザー照射ヘッドを小型軽量化したことで、高速移動時のロボットへの負荷の低減、溶接開始位置への移動速度の向上や、溶接中の軌跡精度の向上に貢献する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「人中心の自動化工場」を描く安川電機、物理面と制御面の柔軟性がカギ
日本ものづくりワールドの特別講演として、安川電機 取締役 常務執行役員 ロボット事業部長の小川昌寛氏が登壇。「ロボットの進化とデータドリブンによる自律分散型のモノづくりの実現 」をテーマに、生産現場で創出されるデータの活用によるソリューション技術の広がりや、デジタルツインの構造化によるさらなる進化について紹介した。
協働ロボットはコロナ禍の人作業を補う手段となり得るか
新型コロナウイルス感染症（COVID-19）による混乱は2021年も続きそうな兆しを見せている。製造現場でも人の密集や密閉空間による作業が制限される中、これらを回避するために人作業の一部を代替する用途で期待を集めているのが協働ロボットの活用だ。2021年はコロナ禍による働き方改革も含め、製造現場での協働ロボット活用がさらに加速する見込みだ。
期待されるロボット市場の成長、安川電機は何を思うか
産業用ロボットでトップレベルのシェアを握る安川電機。労働人口減少による人手不足や政府の掲げる「ロボット新戦略」などロボットの活躍の場がさらに増えると見られている中、何を考え、どのような技術開発を進めているのだろうか。ロボット事業部 事業企画部 部長の富田也寸史氏に話を聞いた。
いまさら聞けない産業用ロボット入門〔前編〕
日本は「ロボット大国」とも呼ばれていますが、その根幹を支えているのが「産業用ロボット」です。それは世界の産業用ロボット市場で圧倒的に日本企業がシェアを握っているからです。では、この産業用ロボットについてあなたはどれくらい知っていますか？ 今やあらゆるモノの製造に欠かせない産業用ロボットの本質と基礎を解説します。
製造現場での普及を2倍に、ロボット新戦略が目指すロボットと共に働く未来
日本政府が主催する「ロボット革命実現会議」は、ロボット活用の技術的および規制面でのロードマップを示した「ロボット新戦略」を発表した。本稿では、この新戦略の中で示されている「モノづくり」分野への取り組みにフォーカスし、その内容を紹介する。
ロボット活用拡大のボトルネック、ロボットインテグレーターの現実
あらゆる現場で労働人口不足などが深刻化する中、その解決策としてロボット活用への期待が高まっている。しかし、現実的にはロボットを現場で実装するロボットシステムインテグレーターが不足しており、ロボット活用の裾野が広がらない状況になっている。経済産業省 関東経済産業局がまとめた「ロボットシステムインテグレーターに関する調査結果」の内容をまとめた。