流体解析におけるメッシュ作成の基礎、これからの設計者CAE:実例で学ぶステップアップ設計者CAE(12)(3/3 ページ)
初心者を対象に、ステップアップで「設計者CAE」の実践的なアプローチを学ぶ連載。詳細設計過程における解析事例を題材に、その解析内容と解析結果をどう判断し、設計パラメータに反映するかについて、流れに沿って解説する。最終回となる第12回は「流体解析」をテーマに、解析ゴールの考え方とメッシュ生成の基礎について解説するとともに、設計者CAEの実践に向けたメッセージをお届けする。
計算結果の確認
解析結果は以下の通りです。図7に圧力分布を、図8に流速分布を示します。
これら結果を見てみると、モデル上部にある流体の入り口部分に近い所にあるノズル部は流速が速く、遠くなればなるほど流速が遅くなっていることが分かります。
では、定常流れとしてではなく、非定常流れとして時刻歴的に見るとどのような結果が得られるでしょうか。任意の時刻の状態を示した結果(流速分布)が図9になります。
このように、実際に時刻歴的な変化を見てみると、安定に至る間の各ノズルの流速の変化やバラツキが明確になります。設計者はこうした状態の確認までしっかりと行って、流路を検討しなければなりません。
これからの設計者CAE
筆者が長年携わっている日本の装置産業界では、20年前以上からずっと品質、コスト、納期に対する厳しい要求が続いています。
そうした中、設計環境は3D CADの登場とその普及によって劇的に変化し、製造業においてもデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みへの関心が高まり、単なるアナログからデジタルへの置き換えではない、デジタル化による業務プロセス変革を目指そうとする動きが生まれつつあります。また、このコロナ禍においては、働く場所に捉われない“新しい働き方(働き方改革)”も求められるようになり、クラウド活用を前提とした環境整備も積極的に行われるようになってきました。いつでも、どこでも、どんなデバイスからでも設計業務に携われる、そんな時代が実現されようとしているのです。
同様に、CAEも時代とともに進化を遂げ、複雑な解析がより高精度に、より短時間にできるようになり、設計者でも扱いやすいツールなども登場し、以前よりもずっとCAEが扱いやすくなってきました。この強力な武器を使わない手はないでしょう。工学的な知識を身に付けながら、業務の中で積極的に設計者CAEを活用してみてはいかがでしょうか。本連載がそのきっかけになれば幸いです。
学びに終わりはありません。筆者自身もCAEについてまだまだ学ぶべきことが多くあると感じています。今後も皆さんと一緒に学びを続けながら、設計者CAEの普及に努めていきたいと思っています。長期間お付き合いいただきありがとうございました! (連載完)
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