インダストリー4.0の具体的な実装計画を推進するサービス、SAPが提供開始:製造ITニュース
SAPジャパンは2021年4月13日、同社のソリューション群を活用して製造業がインダストリー4.0の実現に向けて抱える課題を解決する「Industry 4.NOW(インダストリー・フォー・ドットナウ)推進サービス」を提供開始した。顧客企業でインダストリー4.0を実現するための具体的な計画やアクション策定をSAPジャパンがサポートする。
SAPジャパンは2021年4月13日、同社のソリューション群を活用して製造業がインダストリー4.0の実現に向けて抱える課題を解決する「Industry 4.Now(インダストリー・フォー・ドットナウ)推進サービス」を提供開始した。顧客企業でインダストリー4.0を実現するための具体的な計画やアクション策定をSAPジャパンがサポートする。
4つのプロセスでインダストリー4.0を実装
SAPジャパンは2020年9月に、インダストリー4.0で求められる産業変革の内容を自社に適用した場合の、具体的なイメージ作りを支援する「Industry4.Now HUB TOKYO」を設立した。同組織ではSAPソリューションを用いた業務プロセス改革事例をエンドツーエンドで紹介する他、基幹情報システムと工場の制御システムを垂直統合したショーケースや、経営判断への現場データの活用方法を紹介するなどの取り組みを行っている。2021年3月末時点で25社が参加しており、そのうち70%の企業はエグゼクティブ層が参加するなど高い関心が寄せられているという。
ただ、インダストリー4.0は包括的な概念で、多岐にわたる要素を含んでいる。このため、実際にインダストリー4.0の考えに基づいた改革を進めようとすると、具体的にどのようなソリューションをどのような順番で実装すべきかが分からない、といった問題が生じ得る。また、包括的な概念のためにインダストリー4.0への理解が部門ごとに異なるといった事態が発生する可能性もある。
こうした課題を乗り越えて、インダストリー4.0を事業レベルで実現するための計画やアクションを具体化するサービスがIndustry 4.Now推進サービスである。
同サービスは「改善機会の評価」「実現シナリオの定義」「プロトタイプ実機検証」「段階的導入/継続的改善」の4プロセスで顧客支援を行う。
改善機会の評価では、SAPジャパンが意見交換会などを通じて改善可能な項目を評価し、各部門間でインダストリー4.0に対する共通理解を形成した上で、優先的に取り組むべき要素を顧客企業と検討する。実現シナリオの定義では、システム実装に向けた全体シナリオを設定した上で、ロードマップの作成と共に、プロトタイプシステムを用いたPoC(概念実証)計画の立案や準備を進める。プロトタイプ実機検証ではプロトタイプシステムを作成、評価する。そして、段階的導入/継続的改善においては、SAPやパートナー企業がパイロットプロジェクトを段階的に導入し、導入後にはSAPサービス部門がサポートを行う。
SAPジャパン サービス事業本部 ソリューションデリバリ本部 本部長の坂田健司氏は「国内企業によるインダストリー4.0の取り組みでは『小さく始めて小さく終わる』という事態を多く見かける。取り組みに当社も伴走させてもらえれば、『小さく始めて大きく育てていく』ということが可能になる。Industry 4.Now推進サービスはそうしたサービスに仕上がっている」と語った。
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