1.2×1.0mm、MRI検査が可能なペースメーカー用音叉型水晶振動子を開発:医療機器ニュース
日本電波工業は、MRI検査に対応可能なペースメーカー用の音叉型水晶振動子として、世界最小クラスの「NX1210VA」を開発した。カバーの素材に磁性体の含有量が少ないセラミック材を採用し、新パッケージ方法で磁場の影響を抑える。
日本電波工業は2021年3月12日、MRI検査に対応可能なペースメーカー用の音叉型水晶振動子として世界最小クラスの「NX1210VA」を開発したと発表した。同年1月からサンプルを出荷している。
同社のMRI対応ペースメーカー用音叉型水晶振動子は、カバーの素材に磁性体の含有量が少ないセラミック材を採用している。また、新開発のパッケージ方法により、磁場の影響を最小限に抑えている。
ペースメーカーは、リード線を心臓に接続するタイプから、直に植え込むリードレスタイプが開発されたことで小型化が進み、部品もより小さいものが求められている。同社もこれまでに、外形寸法が2.0×1.2mmの「NX2012VA」や3.2×1.5mmの「NX3215VA」を提供してきた。
今回、新たにラインアップに加わったNX1210VAは、1.2×1.0mmと極めて小型だ。水晶素子に、FEM(Finite Element Method:有限要素法)解析によるシミュレーションやフォトリソグラフィ工法による高精細加工技術を用いることで、超小型かつ信頼性の高い水晶振動子の開発に成功した。
従来のペースメーカーは、部材に含まれる強磁性体が磁場の影響を受けて、正常に動作しなくなる可能性がある。そのため、ペースメーカーを植え込んだ患者はMRI検査を受けることができなかった。
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