プロセッサコアIPの最新版、機能安全をはじめ車両設計の柔軟性と性能を強化:組み込み開発ニュース
Armは、リアルタイム処理に対応するプロセッサコアIP「Cortex-Rファミリー」の最新製品となる「Cortex-R52+」を発表した。車載アプリケーション向けに、機能安全、設計の柔軟性、リアルタイム性能を強化している。
Armは2021年2月24日、リアルタイム処理に対応するプロセッサコアIP「Cortex-Rファミリー」の最新製品となる「Cortex-R52+」を発表した。車載アプリケーション向けに、機能安全、設計の柔軟性、リアルタイム性能を強化している。
Cortex-R52+は、32ビット「Armv8-R」アーキテクチャを実装。ハードウェアによりソフトウェアを分離しているため、ソフトウェア機能の相互干渉を排除できる。これにより、安全関連のタスクにおいて、認証作業に必要なコードを削減し、時間、コスト、労力を軽減できる。
また、仮想化機能を導入しているので、単一のCPU上で複数のOSを使用してアプリケーションを統合できる。ECUの増加を抑制できるため、配線の複雑化、高コスト化、重量化を回避しつつ、機能の拡張に貢献する。
さらに、高性能マルチコアクラスタを搭載し、低レイテンシを必要とする決定論的なシステムにリアルタイム性能を提供する。既存のCortex-R52ともソフトウェアの互換性がある。
自動車の高い安全性を確保するために単一クラスタ内で最大4ペアのロックステップCPUを構成したり、高い演算性能を必要とする環境向けに8個のCPUに分割したりもできる。ADASやコックピットコントローラーなどに適しており、ISO 26262 ASIL Dのほか、IEC 61508 SIL 3の認証を取得する見通しだ。
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