パナソニックの可搬型バッテリーはIoTを活用、充放電器との分離で新提案:製造業IoT(2/2 ページ)
パナソニックが新開発の可搬型バッテリー「e-block(イーブロック)」を発表。一般的な定置用蓄電システムと異なり、充放電器からバッテリーを取り外して使えることが最大の特徴で、複数のバッテリーを入れ替えて運用することなどを想定してIoT化しており、専用のスマホアプリとBluetooth通信でバッテリーの充電状態などを管理できる。
2030年度に年間12万台の販売を見込む
パナソニック LS社 エナジーシステム事業部 PSマーケティングセンター 所長の櫻井聡氏は「パナソニックのエナジーシステム事業は創業から電気の困りごと解決に注力しており、東日本大震災を契機に事業を開始したリチウムイオン蓄電システムもその1つになる。そして2020年からのコロナ禍では密集から分散が求められる中で今回開発したのが、バッテリーと充放電器をセパレート型にするという今までにないコンセプトのイーブロックだ」と語る。
イーブロックは国内市場のB2B向けでの事業展開がメインで、電材や住設ルートでの販売を進めることになるが、パナソニックの専門店などでの販売も検討している。2021年度の年間販売目標台数は3万台だが、その後2024年度に年間6万台、2030年度に12万台を見込む。
パナソニック LS社 エナジーシステム事業部 システム機器BU エネルギーシステムSBU長の中嶋慎一郎氏は「主に防災やオフィス向けに提案を進めていきたい。例えば、国内の防災拠点は19万カ所、従業員300人以下の中小企業は350万社あり、フレキシブルな電源配置を求めるニーズは多い」と強調する。
また、イーブロックの今後の事業展開としては「“どこでもライフバッテリー”という製品コンセプトである以上、さまざまな形態での活用法を想定している。まずは1年後をめどに、複数のバッテリーを充電できる充電器などを投入できればと考えている」(中島氏)としている。
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