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フォークボールはなぜ落ちる? スパコンによる空力解析で謎を初めて解明CAE最前線(3/3 ページ)

野球のピッチャーの決め球、フォークボールはなぜ落ちるのか? これまでボールの回転数が少ないことで自然落下による放物線に近い軌道を描くとされていたが、東京工業大学 学術国際情報センター 教授の青木尊之氏を代表とする研究チームがスーパーコンピュータ「TSUBAME3.0」による数値流体シミュレーションを実施し、その謎を初めて解明した。

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リリース後のボールの軌道を高精度に再現

 さらに、今回の研究成果により、投手がボールをリリースした直後の「球速」「回転速度」「回転軸」の3つの要素から、その後のボールの軌道を高精度に再現できることも確認した。これにより、ボールの縦方向の変化を捉えることが可能となり、例えば、縫い目の違いに着目して、球速が時速151.2kmで回転数が1110rpmのツーシーム(フォーク)とフォーシームを比較すると、縦方向の変化の落差が19.1cmもあることが判明。さらに、回転数の違いで見てみると、球速が時速151.2kmで回転数が1110rpmのフォーシームと、同じ球速で回転数が2230rpmのフォーシーム(ストレート)とでは、縦方向の変化の落差が11.3cmあることが分かった。

ピッチャーからバッターまでのボールの軌道について
ピッチャーからバッターまでのボールの軌道について ※出典:東京工業大学、九州大学、慶応義塾大学 [クリックで拡大]

 その他、プロ野球チーム「福岡ソフトバンクホークス」の千賀滉大投手が投げる落差の非常に大きなジャイロ回転(ボールの進行方向と回転軸が一致するライフル回転)のフォークボールについても解析。その結果、先の1110rpmのツーシーム(フォーク)よりもさらに軌道の落差が大きい(自由落下の放物線軌道よりも落ちる)ことが確認できたという。

ジャイロボールの軌道について
ジャイロボールの軌道について ※出典:東京工業大学、九州大学、慶応義塾大学 [クリックで拡大]

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