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アルツハイマー病の病因物質を生み出す酵素の多様性を発見医療技術ニュース

慶應義塾大学は、アルツハイマー病の原因と考えられているアミロイドβを産生するγ-セクレターゼ複合体が、触媒サブユニットの種類と局在部位における多様性を持つことを、ヒト神経細胞モデルを用いて明らかにした。

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 慶應義塾大学は2021年2月22日、アルツハイマー病発症の原因と考えられているアミロイドβ(Aβ)を産生するγ-セクレターゼ複合体が、触媒サブユニットの種類と局在部位における多様性を持つことを、ヒト神経細胞モデルを用いて明らかにしたと発表した。

 Aβは、β-セクレターゼとγ-セクレターゼ複合体が前駆体タンパク質APPを切断することで産生され、γ-セクレターゼ複合体の切断部位によって長さの異なる複数のAβが存在する。主なAβはアミノ酸が40個のAβ40と42個のAβ42だが、Aβ42がアルツハイマー病発症に深く関わっていると考えられている。

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Aβ産生機構(クリックで拡大) 出典:慶應義塾大学

 γ-セクレターゼ複合体の触媒サブユニットであるプレセニリン(PS)は、コードする遺伝子の違いによってPS1とPS2の2種類が存在する。今回、研究グループは、ゲノム編集技術を用いて健常人由来ヒトiPS細胞のPS1遺伝子とPS2遺伝子を改変し、各サブユニットまたは両方を欠失させたヒト大脳皮質神経細胞を作製した。

 その結果、PS2だけを欠失させた細胞でAβ42産生が最大40%減少し、毒性の高いAβ42産生にPS2が関与していることが明らかとなった。PS1とPS2両方を欠失させた細胞では、Aβ40、Aβ42の両方が産生されなくなった。

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本研究成果の模式図(クリックで拡大) 出典:慶應義塾大学

 また、免疫細胞染色により、PS2を持つγ-セレクターゼ複合体の約50%が後期エンドソームに局在していることが分かった。一方で、PS1を持つγ-セレクターゼ複合体の細胞内局在は見られなかった。

 これらの結果から、個々のγセクレターゼ複合体は、触媒サブユニットの種類および細胞内での局在部位の多様性を持つことにより、Aβ産生能などの機能面での差異を獲得することが明らかになった。

 PS変異がAβ42産生に関わっていると考えられていたが、これまでヒト神経細胞におけるPS1、PS2の生理的機能に関する詳細な研究はされていなかった。また、先行のマウスにおける研究では、PS1がAβ42産生に主に関与していることが明らかとなっており、ヒトとマウスではPS1とPS2のAβ産生能に違いがあることも、今回の研究で示唆された。

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