リアルタイム組み込みハイパーバイザーの最新版を提供開始:組み込み開発ニュース
BlackBerryは、リアルタイム組み込みハイパーバイザーの最新版「QNX Hypervisor 2.2」の提供を開始した。組み込みシステムの設計に柔軟性と拡張性を提供し、初期開発コストと長期所有コストの削減に貢献する。
BlackBerryは2021年2月12日、リアルタイム組み込みハイパーバイザーの最新版「QNX Hypervisor 2.2」の提供を開始した。鉄道やロボットのコントローラ、車両のデジタルコックピット、バッテリー制御ECUなど、さまざまな組み込みシステムの設計に柔軟性と拡張性を提供し、初期開発コストと長期所有コストの削減に貢献する。
QNX Hypervisor 2.2は、「QNX Neutrino RTOS 7.1」をベースとし、入力制御、スケーラブルベクトル拡張(SVE)、暗号化、セキュリティ強化などを支援する。ゲスト起動前にクリティカルシステムを高速起動したり、優先順位に基づきハードウェアリソースとデバイスを共有する機能も提供。準仮想化ドライバ「VIRTIO」の拡張版を追加することで、共有デバイスのサポートを強化した。同時に、エントロピーのリソース追加機能も拡充した。
また、AndroidやLinuxで動作するハイパーバイザードメインを提供する。拡張性と柔軟性を活用して、機能や性能を損なわずAndroidとLinuxをSoCに追加し、システムを簡素化できる。ミッションクリティカルなアプリケーションは、優先順位のスケジューリングに基づいてAndroidとホストドメインサービスを共有でき、ゲストの動作を正確に制御する。
システム設計者は「QNX Momentics Tool Suite」を利用し、ゲストとデバイスの分離と隔離を制御して、ハイパーバイザーの運用を詳細に把握できる。
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